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繰り返す蕁麻疹のかゆみに中医学で根本からの改善

中にはCOVID-19に感染してから4〜5年経っても、蕁麻疹が何度も再発し、かゆみで夜も眠れず、日常生活や仕事に支障をきたすという深刻なケースもあります。

台湾・京禾中医診所の院長である陳俊如医師は、健康番組【Her Health】の中で次のように説明しています。COVID-19ウイルスの感染によって、多くの人の免疫システムが変化し、それにより精神的ストレス、気温、日光、水といった日常の刺激に対しても過敏に反応するようになっているのです。

2つのツボ押しでかゆみを素早く緩和

中薬による体質改善には時間がかかるため、じんましんがひどくかゆくて思わずかきたくなるときには、台湾の京禾中医診所、陳俊如医師は、即効性のあるツボ押しを勧めています。おすすめのツボは「曲池」と「血海」の2つです。曲池は主に上半身のかゆみに効果があるとされるツボ。血海は主に下半身のかゆみに対応します。

中医学では、これらのツボに鍼治療を行うのが一般的です。鍼なら皮膚の深部まで刺激できるため、より高い止痒効果が期待できるとされています。

曲池の位置(健康1+1)
血海の位置(健康1+1)

 

中医学で抗ヒスタミン薬を卒業する

陳俊如医師によれば、中医学による蕁麻疹の調整は、まず体内のアレルゲンを排出し、免疫機能を正常な状態に戻すことから始まります。治療では、アレルゲンの新たな侵入を防ぐと同時に、すでに体内に入っているアレルゲンを「清熱解毒(体内の熱と毒を取り除く)」という方法で可能な限り取り除いていきます。治療は主に液体の漢方薬を使用し、さらに食事のコントロールも行います。

ただし、かゆみが非常に強いときは、西洋医学の抗ヒスタミン薬を一時的に使って抑えることも可能です。COVID-19感染後に4〜5年にわたり蕁麻疹を繰り返している人の多くは、長期にわたり抗ヒスタミン薬を服用しています。

このような患者が診療に訪れた場合、陳医師は中薬による体質改善を進めながら、抗ヒスタミン薬の量を徐々に減らしていくよう指導します。最終的には薬を完全にやめることを目指し、通常は3〜4か月で約8割の改善が見込まれるとのことです。

中医学による蕁麻疹のケア方法

季節の変わり目は蕁麻疹が出やすい時期で、特に寒暖差によって皮膚がかゆくなることがあります。中医学では、じんましんは「風熱」や「湿熱」といった体内のバランスの乱れが原因とされ、治療の基本は「風を散らし熱を清めてかゆみを止める」ことです。

1. 風を散らし熱を清めてかゆみを止める

一般的な蕁麻疹には、「疏風清熱」という考え方に基づいて治療が行われます。中医学では、荊芥防風、薄荷、甘草といった4つの生薬を使ってお茶を作り、かゆみの緩和を図ります。

陳俊如医師は、蕁麻疹が出やすい夕食後のタイミングでこのお茶を飲むことを勧めています。かゆみ止めのような働きがあり、安眠にもつながるといいます。

2. 脾を強めて湿を除く(健脾除湿)

中医学では「健脾除湿」の観点からも蕁麻疹の治療が行われます。はとむぎ白朮などの薬材は体内の余分な湿気を取り除く作用があり、はとむぎは抗ヒスタミンに似た作用で皮下のむくみの改善に役立つとされています。

また、「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」という処方もよく使われ、体内の湿を取り除き、組織のむくみを解消することが期待されます。

苓桂朮甘湯の基本レシピ:茯苓12g、桂枝9g(皮を除く)、白朮6g、炙甘草6g。これらを水約1.2Lで煎じて約600mlまで煮詰め、かすを取り除き、3回に分けて温かく飲みます。

3.個別に応じた精密な蕁麻疹対策

中医学では、蕁麻疹の治療は一律ではなく、症状の性質に応じてきめ細やかに調整されます。基本的な方針のほか、患者が「寒冷蕁麻疹」か「温熱蕁麻疹」かによって、治療方法は大きく異なります。

寒さに敏感な「寒冷蕁麻疹」の場合、体内の気と血の巡りを良くするための温補(体を温めて補う)アプローチがとられます。桂円(けいえん/龍眼)、なつめ、黒ごまなどを使った温かい補養茶(例えば生姜と桂円、なつめを煮出したもの)などが勧められます。ただし、これらの食材を摂取して症状が悪化するようであれば、その方法は適していません。

一方、熱に反応して悪化する「温熱蕁麻疹」の場合、温補食によって蕁麻疹が出やすくなるため、体内の余分な熱と毒を取り除く「清熱解毒」のアプローチが必要です。このように中医学では、じんましんのタイプを見極めた上で、最も適した治療法を選ぶことが重要とされています。
 

再発の原因とは?

陳俊如医師の説明によると、COVID-19ウイルスへの感染が免疫システムに影響を与えた結果、体がさまざまな誘因に対して過敏になり、じんましんが起こりやすくなっているとのことです。また、中には不眠症や更年期障害に似た症状が現れる人もいるとされています。
 

蕁麻疹を引き起こしやすい要因

1. ストレス

精神的なストレスが強いと、蕁麻疹が激しく出ることがあります。診療では、進学クラスを担当する教師の女性が、成績に対するプレッシャーから大きなストレスを感じており、気分が落ち込むたびに蕁麻疹が即座に現れていたケースがありました。治療を継続することで、多くの症状が改善されました。

2. 温度、日光、水

寒い冬に外気に触れた部分の肌に蕁麻疹が出る人もいれば、暑い夏に外気に触れた部分に症状が出る人もいます。

また、日光に敏感な体質の人は、日差しに当たるだけで蕁麻疹を発症することがあります。

水に触れるだけでも蕁麻疹が出る人もおり、たとえきれいな水でも反応する場合があります。中には、屋根から垂れた水が肌にかかっただけで発症した例もあります。

3. ホルモンバランス

陳俊如医師によると、30〜50代の女性は、若年期から更年期にかけての生理的な変化の時期にあり、ホルモンの変動が蕁麻疹の発症リスクを高める要因になるといいます。

一方、男性はこの時期にホルモンの変動が少ないため、発症の割合は比較的低いですが、食生活やストレスの影響で蕁麻疹が出るケースがあります。

4. 食物アレルギー

殻付きの魚介類、深海魚(サーモン、タラなどヒスタミンが多く含まれるもの)、ナッツ類(ピーナッツ、クルミなど)、辛いものや刺激の強い食べ物、アルコールなどが蕁麻疹を誘発する可能性があります。直接これらの食材を避けていても、調理中にアレルゲンに触れるだけで発症する場合もあり、たとえば魚介類を揚げた油で別の食材を調理するなどのケースでも反応が起こることがあります。

(翻訳編集 華山律)

林一山