季節の変わり目には、インフルエンザやその他のウイルス感染症が静かに忍び寄ってきます。多くの家庭がその影響を受け、重症化するとウイルス性肺炎に発展することもあります。本記事では、科学的研究と実際の症例をもとに、効果的な治療法を紹介し、食事を通じて免疫力を高める方法や、肺炎の予防策を共有します。
私の友人の父親も最近、激しい咳を訴えて病院で検査を受けたところ、ウイルス性肺炎と診断されました。インフルエンザシーズンの到来に加え、COVID-19ウイルスや呼吸器合胞体ウイルス(RSV)など、さまざまなウイルスの影響により、ウイルス性肺炎が非常に深刻化しています。特に高齢者は肺炎のハイリスク群ですが、若年層もウイルスの脅威を軽視すべきではありません。
肺炎で入院した患者に関する後ろ向きコホート研究によると、ほとんどの患者が高齢者で、年齢の中央値は80歳でした。75歳以上の高齢患者では、肺炎による入院死亡率が30.3%と高くなっています。
症例紹介
80歳の張さんは、高血圧と糖尿病を抱えていました。風邪を引いた後に呼吸困難が現れ、病院に搬送されました。医師の検査により、血中酸素飽和度が89%に低下していることが判明し、インフルエンザウイルス性肺炎と診断されました。医師は酸素療法を行い、水分補給を施し、高タンパク質の栄養調整を行いました。7日間の治療を経て、張さんは無事に健康を回復し、退院しました。
一般的に、血中酸素飽和度が92%未満の患者には、ただちに酸素吸入が必要です。また、脱水を防ぐための水分補給や、体力の回復を支えるための適切な栄養補給も重要です。高熱を伴う重症の患者には、不快感を軽減する目的で、適量の解熱剤を使用することが可能です。症状がさらに重くなり、特に呼吸困難や生命徴候の不安定が見られる場合には、入院治療が必要となります。
薬物使用
薬物の使用タイミングは非常に重要であり、インフルエンザ発症後48時間以内に抗ウイルス治療を行うことで、最も高い臨床効果が得られます。たとえば、インフルエンザ治療に用いられる抗ウイルス薬タミフル(オセルタミビル)は、感染から48時間以内に服用することで、患者の退院率を50%向上させ、入院期間を短縮することができます。
ウイルスによって治療法は異なります。COVID-19感染に対しては、複数の抗ウイルス薬が使用可能で、主に中等症から重症の患者、特に糖尿病、高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの基礎疾患を持つ高齢者に適しています。これらの薬剤は症状を緩和し、合併症のリスクを軽減するのに役立ちます。ただし、副作用が生じる可能性もあるため、使用にあたっては医師の評価を受け、その潜在的影響を十分に理解することが重要です。
一方、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対しては、現時点で有効な抗ウイルス薬はなく、治療は主に支持療法に依存しています。
一部の医師は、患者に抗生物質を処方することがありますが、細菌感染を併発していない限り、抗生物質は一般的にウイルス性肺炎に対して効果がありません。
また、特定の状況ではコルチコステロイドの使用が有効な場合があります。たとえば、重度の肺炎により血中酸素飽和度が90%未満となり、酸素療法が必要な患者に対しては、短期間のコルチコステロイド投与が効果を示すことがあります。これは主に抗炎症作用によるものです。
研究によると、合成コルチコステロイドであるデキサメタゾンは、炎症による肺損傷を制御し、呼吸不全や死亡率を低下させる可能性があります。COVID-19で入院中の患者において、侵襲的人工呼吸器や酸素療法と併用してデキサメタゾンを使用すると、28日以内の死亡率を下げる効果が報告されています。ただし、デキサメタゾンは高血糖や精神錯乱といった副作用を引き起こす恐れがあるため、使用には注意が必要です。
予防の観点からは、インフルエンザワクチンの接種により、インフルエンザに関連する入院リスクを約半分に減らすことができます。肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による感染のリスク低減に有効です。ただし、ワクチンの効果には個人差があり、すべての人に等しく効果があるわけではないため、個々の体質に応じて判断することが重要です。
食事療法
高齢の患者にとって、ウイルス性肺炎にかかっている間の食事療法は非常に重要です。以下の種類の食品を積極的に取り入れることが推奨されます。
1. 免疫力を高める食品
ビタミンCが豊富な柑橘類(オレンジ、レモン、グレープフルーツなど)を摂取しましょう。ビタミンCは、先天性および適応免疫システムのさまざまな細胞機能をサポートし、免疫防御の強化に役立ちます。ビタミンCの補給は、呼吸器および全身性感染症の予防や治療に効果があることが示されています。
また、臨床研究により、ニンニクには免疫反応を高め、広範囲のウイルス感染を予防する効果があることが証明されています。生姜にも、抗炎症作用、抗酸化作用、免疫調整作用、抗ウイルス作用があることが知られています。
2. 高タンパク質食品
十分なタンパク質の摂取は、肺組織の修復を助ける重要な要素です。鶏肉、魚、卵などの動物性タンパク質に加え、レンズ豆などの豆類も優れた植物性タンパク質源であり、同時に食物繊維も豊富に含まれています。
72歳の李さんは、COVID-19に感染して入院しました。医師からは、毎日十分なタンパク質を摂取するよう指導されました。回復期間中、李さんは毎日チキンスープを飲み、ナツメとハスの実のおかゆを食べ、アボカドやナッツ類も取り入れていました。3週間の療養を経て、彼女は順調に回復しました。
ナツメとハスの実のおかゆ
材料:もち米60g、芯を取ったハスの実20g、ナツメ6個
作り方:ハスの実を洗い、ナツメは種を取り除きます。もち米も洗って水に浸しておきます。もち米とハスの実を鍋に入れ、600mlの水を加えて弱火で40分煮ます。その後、ナツメを加えてさらに15分煮込みます。食べる際には、お好みで氷砂糖を加えることもできます。
3. 肺を清浄化し痰を除去する食品
パイナップルは、肺を清浄化し痰を取り除くのに役立つ果物です。研究によれば、パイナップルに含まれるブロメラインには粘液を溶解する作用があり、肺内の粘液の排出を助けます。また、口腔粘膜にウイルスが付着するのを防ぎ、ウイルスの細胞侵入および複製を阻止する効果もあります。
はちみつは天然の抗菌食品として知られ、のどを潤し、咳を和らげる働きがあります。
さらに、大根を温かいスープにして摂取することで、肺を清浄にし湿気を取り除く効果が期待されます。体内に湿気が長くとどまると痰として凝固しますが、肺の熱や毒素、余分な水分を取り除くことで、湿気を排出し痰を軽減し、呼吸器の健康を促進することができます。
避けるべき食品
ウイルス性肺炎の罹患中は、超加工食品や揚げ物の摂取を避けましょう。これらは肺の炎症を悪化させる恐れがあります。また、高糖食品や炭酸飲料も控えるべきです。これらは免疫機能を抑制する可能性があるためです。
中高年の方がウイルス性肺炎に打ち勝つための鍵は、早期治療と適切な栄養サポートにあります。これらは回復を早めるのに大きく貢献します。また、マスクの着用、こまめな手洗い、感染者との接触を避けるといった日常的な衛生習慣を維持することも、感染リスクを下げるうえで非常に重要です。
(翻訳編集 里見雨禾)
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