若年層にも物忘れが! 記憶力をアップさせる5つのコツ

従来、物忘れは高齢者に多く見られるものとされていましたが、最近は生活のスピードが速くなり、競争が激化し、仕事も忙しくなり、若い人でも物忘れをする人が増えてきました。

何十年にもわたって、多くの記憶法も試されてきましたが、最近、新たな研究により、あらゆるタイプの人に有効な記憶術が明らかになってきました。その方法を5つご紹介します。

1 後ろ向きに歩く

欧米では、未来は目の前に広がるもので、過去は後ろにあるものと考えられています。人々の記憶力を高めるために、ローハンプトン大学の研究者たちは2018年に、この心の中の時間と空間のつながりに関する研究を行いました。

彼らは単語のリスト、一連の写真、女性のハンドバッグを盗む様子を記録したビデオの一部などを見せるという実験を行い、それらを記憶した被験者には、メトロノームのリズムに合わせて部屋の中を10メートル前進または10メートル後退してもらいました。その結果、後ろ向きに歩いた人の方が、各テストで記憶力が良いことが分かりました。

後ろ向きに歩くと、頭の中が過去に戻ったようになり、以前の経験を思い出しやすくなるのです。

また、後ろ向きに歩いているところを想像しただけでも効果があることがわかりました。

2 絵を描く

2018年に行われた実験では、若者のグループと高齢者のグループにそれぞれ、単語の暗記をさせました。半数の人は単語の絵を描くように言われ、残りの半数は覚えた単語をただ書き写すように言われ、どれだけの単語を覚えているかをテストしました。
 

「同位体(isotope)」など、専門的だったり、抽象的な言葉を絵に描くことは難しいが、試験の結果、描くことによって効果ははるかに高く、高齢者は若い人と同じように単語を思い出し、この方法は認知症の人にも有効であることがわかりました。

なぜなら、絵を描くときには、より詳細に考えなければならず、この深い考えによって、記憶に残る可能性が高くなるからです。もちろん、言葉を書くことでも効果はありますが、ただ書くだけではなく、描くことでより効果を発揮します。

3 最も適したタイミングで運動する

ランニングなどの有酸素運動が記憶力の向上に役立つことはよく知られています。といっても毎日行うような習慣的な運動は記憶力全体にはほとんど影響しません。有酸素運動が記憶力の向上に役立つのは、何かを学ぶ必要があるときに、するようなときです。

また運動のタイミングも重要で、適切なタイミングで運動をすると、記憶力がさらに飛躍的に向上する可能性があるという研究結果があります。実験によると絵を覚えるという実験で、絵を見た4時間後に35分間のインターバル・トレーニングを行った人は、覚えた直後にインターバル・トレーニングを行った人に比べて、絵をよく覚えていました。

研究者たちは、運動に最も有益な時間帯を特定しようとしていますが、ただその時間帯は、覚えたいことによって変わるかもしれません。
 

4 何もしない

英国ヘリオット・ワット大学社会科学部のミカエラ・デュワー准教授はこのような実験をしました。脳卒中で健忘症になった患者に、15個の単語を覚えてもらったのちに、別の課題を与え、10分後のテストには14%の単語しか覚えていませんでした。ところが、覚えた後に暗い部屋に座ってもらい、何もしないでいると、15分後には49%の単語を覚えていました。

デュワー氏は、健康な人にとって、勉強の後に少し休むことが、1週間後の記憶力にも影響するといいます。

5 昼寝をする

後ろ向きに歩いたり、絵を描いたり、運動したり、ちょっとした休憩も面倒くさいという人は、昼寝をしてみましょう。昔から、睡眠は記憶の定着に役立つと考えられてきました。それは、休息中に学習したばかりの情報やコンテンツが脳内で再生され、再活性化されるからです。
 

ドイツの研究者によると、いくつかの単語をセットで記憶した後、90分後に睡眠をとった人は、映画を見た人よりも多くの単語を記憶していたそうです。

さらに、最近の研究では、夜の睡眠よりも、昼寝が最も効果的であることがわかっています。

(翻訳・呉 思楠)