パブリックドメイン

世界中のピラミッド(6)–南ヨーロッパ

約1800年前、旅行家で地理学者のパウサニアス(Pausanias)がいくつかのピラミッドを発見しました。うちのひとつがティリンス(Tiryns)遺跡付近のアルゴス(Argos)郊外の村に位置しています。それが、ヘレニコンピラミッド(Pyramid of Hellinikon)遺跡です。ヘレニコンピラミッドはおよそ紀元前4世紀晩期に建てられ、パウサニアス著作の『ギリシア案内記』の記載によると、このピラミッドは当時、もっとも角錐に近い建築物で、3400年前、アルゴス王国のために身をささげた戦士たちの墓だったといいます。ピラミッドの構造が当時、戦士たちが身に着けていた盾と似ていたため、エーゲ文明のアルゴス王国では、犠牲した戦士たちを記念する場所として用いられました。現在は、土台の部分しか残っていません。

ローマには紀元前18年から12年の間に建てられたピラミッドがあります。この高さ27メートルにおよぶピラミッドはガイウス・ケスティウスのピラミッドと呼ばれ、1660年に発見されて、当時の画家・ピエトロ・サンティ・バルトリが中に残された壁画について詳しく描写しています。

ガイウス・ケスティウスのピラミッドは、その名前の通り、当時古代ローマの法務官であるガイウス・ケスティウス・エプロの墓です。ピラミッドの土台の材料は石灰で、その面積は約30平方メートルです。周囲の壁はセメントでできており、外壁には白い大理石が用いられています。ガイウス・ケスティウスのピラミッドのスタイルはヌビアのピラミッドを参考しており、室内の内装はローマスタイルを採用して、壁には壁画が彫られています。昔、強盗に入られたことがあったため、ピラミッドは外部に開放されません。ガイウス・ケスティウスのピラミッドの横には城堡スタイルの門があり、セント・パウロの門と呼ばれ、古代ローマの城壁の一部です。

▶ 続きを読む
関連記事
AIが真偽を曖昧にする現代、孔子の「巧言令色」の警鐘を重ね、日本の職人技に宿る「人の時間と心」に注目。機械には決して偽造できない、手仕事が生み出す究極のリアリティと真の信頼(信)の本質に迫る一編
裸足で大地に触れるだけで、心身に変化が起こる? グラウンディングに期待される14の健康効果と、研究の現状、実践方法を紹介します
親がスマホに気を取られていると、子どもはどう感じるのでしょうか。研究が示す親子の絆への影響と、つながりを深める習慣を紹介します。
高血圧は認知症の危険因子ですが、虚弱な高齢者では異なる傾向も。約6千人の研究が示した、血圧と認知症リスクの意外な関係を紹介します
泥から名器へと生まれ変わる宋代磁器の製作過程を通して、人生の試練の意味を紐解く随想文。過酷な窯の烈火をくぐり抜けてこそ本物の輝きと気骨が宿るように、逆境こそが人を美しく磨き上げるのだと静かに語りかけます