オーストラリア国防軍 壊滅的なサイクロン被害を受けたフィジーの校舎再建を支援
耐暴風雨性の高い校舎の建設により教育環境を回復することを目的として、フィジーではオーストラリア政府とフィジー軍が関与する共同再建事業が進んでいる。
2020年12月と2021年1月に2つの壊滅的な熱帯低気圧がこの太平洋島嶼国を襲って以来、継続的な取り組みが行われてきた。
豪政府は33人の隊員で構成されるオーストラリア国防軍(ADF)建設工学隊の派遣に加えて、豪外務貿易省(DFAT)の資金で同取り組みを支援している。
フィジー・サン(Fiji Sun)紙が報じたところでは、被害総額が500億円相当(5億米ドル)に上った1つ目の熱帯性サイクロン「ヤサ」により、推定で3万1,000世帯の13万9,000人が悪影響を受け、少なくとも2人の死者が発生した。
2つ目の熱帯性サイクロン「アナ」発生時には7,600人が避難を余儀なくされ、31件の家屋破壊と推定5人の死者が発生している。
貧困対策を推進する非政府組織「グローバル・シチズン」が報告したところでは、発生した被害を踏まえて豪外務貿易省の内局であるオーストラリア援助庁がフィジーの33校の修復・改修資金を提供したことで、被害を受けた学校の大半は2020/2021学年度に授業を再開することができた。
10月7日のオーストラリア国防軍のニュースリリースで、豪陸軍のプロジェクト上級工兵要員であるドナルド・ロバートソン(Donald Robertson)少佐は、「フィジー政府と地域社会にとって教育インフラは重要な優先事項である」とし、「RFMF[フィジー軍]の担当者と協力を図りながら損傷した校舎の再建に取り組むことで、フィジーの生徒や学生が質の高い教育を受け最高の人生の進路を目指すことができるようになる」と述べている。
同合同隊は現在、フィジーのバヌアレブ島に所在するレクトゥ中等学校(Lekutu Secondary School)の再建に励んでいる。
フィジー政府、フィジー軍、豪外務貿易省との連携により、オーストラリア国防軍のプロジェクト幹部は2021年初頭に校舎の修理と改修を緊急の必要性として特定している。
オーストラリア国防軍の工兵要員は、2021年11月14日に再建の第1段階が完了した後にオーストラリアに帰国する予定となっている。工兵要員は第2段階が始まる2022年にフィジーに戻る。
この2棟の3教室の構造が完成した暁にはこれが地元の共同体に提示されることになる。
マリセ・ペイン(Marise Payne)豪外相は声明を通して、「熱帯性サイクロン『ヤサ』後のフィジーの迅速かつ効果的な対応を支援できることをオーストラリアは誇りに感じている」とし、「同サイクロンの余波でフィジー住民は大きな心的外傷を受けたが、教師や生徒・学生がまた教室に通えるようになったのは素晴らしい成果である」と述べている。
グローバル・シチズンによると、長年にわたりオーストラリア援助庁のプログラムからの支援を受けているフィジーには、2019年から2020年にかけて58億8,000万円相当(5,880万米ドル)が供与されており、2021年にはこれよりも多い65億6,000万円相当(6,560万米ドル)の援助が提供される予定となっている。
フィジー教育省の発表では、暴風雨の被害を受けた校舎の再建目的でオーストラリアからフィジーに12億円相当(1,200万米ドル)の資金が提供された2021年3月に、資金の増額が発表されている。
また、日本の支援を受けてフィジーのカンダブ島でも3校が現在建設中の状態にある。文部省の発表によると、近年の熱帯低気圧被害後に再建された校舎は、カテゴリ5に属する猛烈なサイクロンにも耐え得るように設計されている。