ノアの方舟(中) 神がノアの家族を選んだ

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聖書』によると、アダムイブは、禁断の果実を食べたことで、エデンの園から追放されてしまいました。人間界で生活をし始めたアダムとイブには、徐々に子孫が増えていきました。しかし、人が増えるにつれて、貪欲、嫉妬、怨恨、邪悪などの良くない思考も増えていき、次第に争い始め、略奪し始め、世界は乱れ、悪事が増し、暴虐で満ちていました。ヤハウェは悪が世の中の広い範囲にわたって蔓延しないように、人類を滅ぼすことを決意したのです。

ノアは善良な信者です。神の教えに完全に従い、常に善良な心を持ち、3人の息子も彼の厳しい教育の下、正しい道を歩み始めました。ノアが480歳の時(その時代、人類の寿命は900年に達していたと言われている)、ヤハウェは、神がノアの家族を新しい人類の種として選んだことを伝えました。また、善良な心を取り戻さなければ、人類は洪水によって滅ぼされるとも伝えました。しかし、ヤハウェは人々が滅びるのを見るのを望まず、彼らが反省し、自分の行いを正す時間として大災害を120年先に延ばし、最後のチャンスを与えました。

生き延びるために、ヤハウェはノアにゴフェルの木を使って方舟の建設を命じました。ゴフェルの木は樹脂を多く含んだ檜の一種で、水に強いので、方舟建造の最高の素材でした。そして、方舟を作ってから、内側と外側に松の木のヤニを塗るのです。

そして、ノアと家族は山の上に方舟を建造し始めました。周辺の人々は好奇心をそそられて何をしているのかと聞きました。ノアはヤハウェからの警告を人々に伝えました。

「人類は、神の教えに従って生きなければなりません。そうでなければ、大雨が降り、大洪水が世界のあらゆる陸地を沈めていくでしょう。悔い改めた人はこの方舟に乗り込み、神様の救いを得ることが出来るのです」

当時、地球には季節の移り変わりが無く、地球の表面は水の層に包まれ、太陽が地球を照らしても、水の層の保護により、地球は常に一定の温度を保っていたのです。そのため、当時の地球では、雨が降ったこともありませんでした。

人々は雨を見たことがなく、雨が何であるかも知らないので、大洪水のことを全く信じませんでした。見たことのないものを信じない人々はノアを嘲笑しました。

「どうして洪水が起こるのか。方舟を山の上に造るなど、完成した後、どうやって麓(ふもと)までおろすというのだ?」

ノアも雨を見たことがなく、雨の様子も知らなかったのですが、しかし、神様の教えに何の疑いもなく、自分の目で見たものよりも神の教えを信じていました。ノアは真剣な顔で、「神様から方舟を作れとのお告げがあった。きっと神様の取り決めがある。将来いつか洪水が全ての山を覆い、その時、方舟は浮かびあがるだろう」と言いました。

しかし、誰もノアの話を信じず、あまりにも愚かな考えだと思いました。

神様が延長した120年の間、ノアは真面目に方舟を作りながら、ヤハウェの警告を多くの人々に伝えていきました。洪水が来た時、一緒に方舟に入るよう何度も人々を説得しようとしました。

時が流れ、人々は欲望に支配され、悔い改める考えは全くなく、自らの欲を満たすために何でもしてきました。そして、間もなく最後の期限がやって来たときに、ノアもようやく方舟を完成させたのです。

2月17日、ノアは600歳でした。その日は神が延長した120年という期限の最終日でした。神様の指示に従って、ノアは妻と3人の息子とそれぞれの義理の娘、そして、鳥や家畜、昆虫など、全ての生き物と、食料を方舟に乗せました。また、あらゆる生き物の食べ物を方舟に持ち込みました。全ての生き物が方舟に入った後、神は方舟の扉を閉めたのです。

その7日後、大雨が降り始めました。空の窓が開いたかのように、豪雨が40日間、昼も夜も止むことなく降り続き、海面は上昇し、ついに方舟が浮かび上がりました。洪水で水位は増し、世界で最も高い山でさえ水面下7メートルまで沈みました。ノアの家族と方舟にいた生き物を除いて、人間も動物も植物も地上のすべての生き物が死に絶えました。

それから150日後、世界を覆い尽くした大洪水が引き始め、ノアの方舟は現在のトルコ「アララト山」の山頂に流れ着きました。

また数十日が過ぎ、ノアは方舟の窓を開けて、カラスを放しましたが、カラスは戻りませんでした。さらに鳩を放ちましたが、至る所が水浸しで、とまる所がなく、鳩は戻って来ました。更に7日後、もう一度鳩を空に放すと、夕暮れ時にオリーブの葉をくわえて帰って来たので、洪水が引き始め、地面が現れたとノアは判断しました。

その1年後、地上の水が完全に引き、ノアと家族、そして、全ての動物たちが方舟から出てきて、人間と動物は再び繁栄し始めたのです。地球表面を保護していた水の層が消え、世界に4つの季節が現れました。

 

(作者 秦順天/翻訳編集 千里)