100種以上の哺乳類の死因を分析した研究が雑誌「ネイチャー」に発表され、肉食の哺乳類は癌のリスクが高いことが明らかになりました。
現在、世界人口の40%近くが、人生のある時点で何らかの癌を発症するといわれています。これは人間だけでなく、他の動物も癌を発症するリスクが高いです。この研究によると、すべての哺乳類が癌になる可能性がありますが、癌で死亡する肉食種の割合は高く、例えば、ウンピョウ、コウモリ耳キツネ、アカオオカミなどは25%以上が癌で死亡していることがわかりました。
この研究は、国際的な非営利団体「Species360」が提供した、世界中の動物園にいる191種11万148頭の哺乳類の死因に関するデータを分析したものです。研究者たちは、肉食動物、特に哺乳類を食べる動物は、癌を発症するリスクが高いという結論を出しました。
研究者らは、これは肉食の哺乳類が、体内の微生物の種類が少ないことと関係があるのではないかと考えています。 また、肉類、特に生肉を食べることで、発癌リスクのある微生物にさらされる可能性があることも理由として考えられます。例えば、生の牛肉には牛白血病のウイルスが付着している可能性があります。このウイルスがヒトの乳癌のリスクを高めるという研究結果もあります。
しかし、この研究のもう一つの発見は、研究者にとって予想外のものでした。これまでの研究で、犬も人間も、体の大きな個体ほど、癌になる確率が高いことが分かっています。一般的な解釈では、癌化は細胞が分裂する時に起こるため、体が大きくて長く生きている生物ほど、癌になる確率が高くなる可能性があります。
しかし、本研究では、このパターンが種を超えて当てはまるわけではないことを発見しました。例えば、ゾウとマウスでは体格も寿命も大きく異なりますが、両種とも癌の発生率はほぼ同じです。
科学者はこれをピートのパラドックスと呼んでいます。つまり、種族間では、癌になる確率は生物の細胞の数とは関係がない、ということです。もう一つわかりやすい例として、クジラは人間よりはるかに細胞数が多いのに、癌になるリスクは人間よりはるかに低いということが知られています。
研究者らは、この結果がピートのパラドックスに対する新たな証拠になるとしています。
(翻訳・里見雨禾)
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