韓国には「可愛い子ほど、多く叩け」「幼い頃は針を盗み、成長したら金を盗む」という諺があります。この2つの言葉を組み合わせて、私から読者に贈ります。
「もし、あなたの子供が幼い頃に針を盗み、大人になり金を盗むことを望まないなら、もう少し叩きなさい!」
もう少し叩くというのは、体罰ではなく、注意や矯正のことです。
三世代同居が一般的だった時代、村は一つの共同体であり、親だけでなく祖父母や村の長老までもが責任を持って村の子どもを教育していました。そのような環境の中で、子どもたちは共有、思いやり、礼儀、尊重を学び、実践する機会が多くありました。
しかし、都市化が加速し、核家族化が進むにつれ、本来の人格教育制度は徐々に崩壊しつつあります。そして、幼い頃から保育園や幼稚園に通う子どもが増えており、一人の先生が多くの子どもたちの教育を担うことになりました。
そのため、道徳教育は一層困難な状況となっています。現在は昔に比べて栄養状態もよく、身体は成長していますが精神年齢は、ますます低くなっています。
思春期は、子どもの道徳心を育てる最後のチャンスです。
この機会を逃すと、子どもの間違った価値観を正すことは難しくなります。子どもの人格教育を長期間おろそかにしてきたならば、「思春期」の時期をうまく利用するようにしましょう。
良い道徳教育とは、子どもに問題行動の最初の兆候があるときに、改善手段と適切な概念を教えることです。特に、子どもが初めて悪さをし始めたときの親の態度は、重要です。親がどのような態度をとるかによって、子どもの問題行動が最小限に抑えられるか、あるいは増幅するか、さらには子どもの将来を左右することもあるのです。
男子学生が母親のクレジットカードを盗み、オンラインゲームのアイテムを20万ウォン(約1万9千円)購入しました。この事を知った母親は、少年に厳しく説教をしました。彼女は少年に、しでかした事の重大さを説き、お金に対する姿勢を正したところ、少年はそれ以降嘘をつかなくなったそうです。
親がどう対処するかで、子どもの成長の方向性が決まります。子どもの母親にとって、信頼と誠実はお金よりも大切です。
子どもの問題行動を無視する親は、将来さらに大きな問題に直面する可能性があります。中学生でタバコを吸ったり、暴力を振るったりする子どもは、高校で自主退学になる子どもが多いのです。
ある子は中学生の時にタバコを吸って頻繁に喧嘩をしていたのですが、その度に親に連絡が行きました。「どうしてうちの子は問題児扱いされるんだ」と親は学校に文句を言い返したそうです。
親は子どもにムチを与えるのではなく、アメを与えることを選んだのです。その結果、高校に入ると誰も彼をコントロールできなくなり、結局は退学を余儀なくされることになりました。
実際、子供は親からどう見られているか知っています。しかし、自分の間違いに気づいている子供は、はるかに少ないのです。ですから、親が本当に子供のことを思っているのであれば、応援するだけでなく、適時、正すことも必要です。
あるとき、子どもの体にタバコの灰がついているのを学校の先生が発見し、その子がタバコを吸っているのではないかと疑われました。もし、自分の子どもがこんな目にあったらどうしますか?
このような場合、大抵の親は自分の子どもを守ることを選ぶでしょう。「学校は子どもを信じろ!」「タバコを持っているだけで罰せられるべきだろうか?」と、このように反応する親は少なくありません。
悲しいことに、子どもが一度喫煙を始めると、やめさせるのはとても難しいのです。学校で禁煙を推進したり、電子タバコに切り替えたとしても、一度中毒になるとなかなかやめられません。
成績の良い子でもタバコを吸うことがあるので、親がきちんと状況を理解し、子どもに境界線を設けることが大切です。もしかしたら、その学生はタバコを吸っているわけではなく、興味本位で友人からもらっただけかもしれません。
しかし、タバコを吸う友達と一緒にいる時間が長ければ、その子がタバコを吸うのは時間の問題です。悪化すると「タバコ-お酒-バイク」の連鎖になりかねません。さらに問題を起こすと、少年院に入れられることもあります。
最近は、先生が子どもたちを厳しく罰することが難しくなっています。保護者によっては、子どもが教師から人権侵害を受けていると言うかもしれません。そのような場合、先生と保護者が一緒に行動するのは難しいのです。
しかし、思春期の貴重な矯正の機会を逃して、後で後悔するようでは遅いのです。ですから、親は、学校教育だけで子どもの問題行動がすべて解決できるとと傍観しないでください。親が子供の問題行動を黙認し、学校の先生だけの矯正に頼っていたら、「泥棒」が育ってしまうかもしれません。
アドバイス
私も子を持つ母親なので、お子さんを大切にしたいという気持ちはよくわかります。子どもが道を踏み外したときに「お子さんの中のイメージ」を第一に考え、「お子さんに嫌われる」ことを恐れて、親としての厳しい面を見せられないなら、一番適切な指導時期を逃してしまいます。子どもに「これは間違っていないんだ」と思わせることになり、間違った価値観を育ててしまうのではないでしょうか。
時に、お子さんを一人の人間として見てみてください。子どもを客観的に見ることができ、毅然とした態度であれば矯正すべきタイミングを見極めることができます。
(翻訳・志水慧美)
この記事は、台湾広社提供の「思春期の子育て:中学生の最も人気のある教師、教育分野の直接観察を通じて、10代の子供たちとコミュニケーションを取り、仲良くすることを教える」から抜粋したものです
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