西洋社会で、「今日は何曜日?」と聞かれた時、もしその日が金曜日で、「Friday」と答えると、その日が愛と美と豊饒を司る女神・フレイヤの日であることは頭にも浮かばないのではないでしょうか。
北欧神話に出てきた神々は、現在の西洋社会と深く関わっているものの、現在の人々はすでに慣れてしまい、あらためて口にする者はいません。また我々東洋人にとって、北欧神話やその文化は遠く離れた存在であり、これらほぼ毎日使われている言葉が神話と関係していることはあまり知られていません。
そこで北欧神話におけるそれぞれの曜日の謂れについてお話ししましょう。
英語における曜日名と北欧神話
日曜日(Sunday)は太陽 Sunに由来しており、テウトネス族が祭る太陽の日とされています。
月曜日(Monday)は月 Moonに由来しており、アングロ・サクソン人(Anglo-Saxon、ゲルマン民族の総称)が祭る月の日です。
火曜日(Tuesday)は軍神・テュール(TiuまたはTiw)に由来しており、言い伝えによると、フェンリルに片腕を噛みちぎられたといいます。
水曜日(Wednesday)は主神オーディン(Odin)の日(Woden’s day,Wodenはドイツ語)に由来しています。オーディンはアース神族の主神で、戦争、死、智慧、詩文を司ります。
木曜日(Thursday)は雷神・トール(Thor)に由来しており、トールはオーディンの息子で、戦争と農耕を司ります。ゲルマン人にとって、一週間のうち最も神聖な1日で、通常、この日に会議や重要な話し合いが行われ、午前中までに姿を見せなかったメンバーは資格を外されます。そのため、トールは会議の守り神とも言われています。
金曜日(Friday)は古英語Frigedaegに由来しており、フレイヤ(Freyja)の日と言われています。フレイヤは愛と美、そして、豊穣の女神と言われていますが、同時に、戦いの女神でもあります。オーディンの妻・フリッグ(Frigg)の日に由来しているという説もあります。
土曜日(Saturday)はローマ神話のサターン(Saturn)に由来しており、唯一北欧神話と無関係の日です。
いかがでしょうか。ここにでてくる神々の他にも北欧神話にはたくさんの神々がいます。
北欧神話の他の神々
フリッグ(Frigg):主神オーディンの妻で、最高位の女神です。愛と結婚を司り、雲を織り出すといわれています。
シヴ(Sif):トールの妻であり、大地と収穫を司る女神です。
フレイ(Freyr):豊穣の神であり、収穫と天気を司り、海神ニョルズの息子、ヴァン神族の神であったが、後に双子の妹のフレイヤと共に、人質としてアース神族に移り住みました。
ロキ(Loki):悪戯好きの神であり、ヨトゥン(巨人)に属し、オーディンの義兄弟でもあります。
ヘイムダル(Heimdall):光の神であり、アースガルズの守護者で、ラグナロクが訪れた時、角笛ギャラルホルンを鳴らします。
バルドル(Baldur):光の神であり、オーディンとフリッグの子でもあります。
ヘズ(Hodr):盲目の神であり、バルドルの弟で、オーディンの息子でもあります。
フォルセティ(Forseti):正義、平和、真実を司り、バルドルの息子です。
ブラギ(Bragi):詩の神であり、知恵と流暢な会話と言語の技巧の神としても知られており、オーディンの息子でもあります。
イズン(Idun):青春の女神です。ブラギの妻であり、永遠の若さを取り戻せる黄金の林檎の管理者でもあります。
(翻訳編集・天野秀)
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