緑茶にはECGとEGCGというカテキンが含まれています。この2つの栄養素が免疫力を高め、寿命を延ばすと考えられています。(Shutterstock)

「緑茶はワクチンに似ている?」カテキンが免疫力を高め、寿命を延ばします

緑茶は、昔から健康に良いとされてきました。

特に、ECGとEGCGというカテキンが含まれており、この2つの栄養素が免疫力を高め、寿命を延ばすと考えられています。

ECGおよびEGCGは抗酸化物質として知られるポリフェノール類に属します。それらは、攻撃的なフリーラジカルによって引き起こされる酸化ストレスを相殺、または予防することができます。

新しい研究によると、緑茶中のこれらのポリフェノールは、はじめは短時間の作用によって酸化ストレスを増やしますが、そのあと転じて、細胞および生物全体の防御能力を増加させることを明らかになったと言います。

同研究を主導しているグループのマイケル・リスト教授は、「これは緑茶ポリフェノールやカテキンが実は抗酸化物質ではなく、体の自己防衛力を高めるプロオキシダントであることを示している。言わば、緑茶の飲用は、ワクチン接種に似ているかもしれないということだ」と述べています。

しかし、この防御力の向上は、免疫系によるものではなく、スーパーオキシドディスムターゼやカタラーゼといった特定の酵素を生み出す遺伝子の活性化によってもたらされるものです。

リスト教授の研究グループは2009年に、スポーツが健康を増進する理由として、スポーツ活動は短時間では体の酸化ストレスを増加させますが、それによって体の防御力が高められ、結果的に体が健康になることを明らかにしています。リスト教授は、緑茶による体の防御力向上も、スポーツ鍛錬の場合に似ていると考えています。

 

リスト教授本人は毎日緑茶を飲んでいるそうです。ただし彼は、緑茶エキスなど濃縮されて販売されているものは飲まないことを勧めています。(Shutterstock)

リスト教授本人は、毎日緑茶を飲んでいるそうです。

ただし彼は、緑茶エキスなど濃縮されて販売されているものは飲まないことを勧めています。

リスト教授によると、「健康に良い緑茶も、一定の高濃度では有毒になります。高用量のカテキンはミトコンドリアを抑制し、肝臓では特に危険な細胞死さえ引き起こすのです。これらのポリフェノールを過剰摂取した場合、臓器を損傷する可能性があります」と警告します。

日本の緑茶には、カテキンが最も多く含まれています。他の緑茶にも十分な量のポリフェノールが含まれています。一方、発酵茶である紅茶のカテキン含有量は、発酵過程によって大きく破壊されるため、はるかに少なくなっています。

(文・ETH Zurich/翻訳編集・鳥飼聡)

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