世界貿易機関(WTO)は12日、2022年の世界貿易が前年比3.0%増になるとの見通しを発表した。写真はオコンジョイウェアラ事務局長。2021年10月撮影(2022年 ロイター/Denis Balibous)

22年世界貿易予想、3.0%増に下方修正 食糧危機も警告=WTO

[ジュネーブ 12日 ロイター] – 世界貿易機関(WTO)は12日、2022年の世界貿易が前年比3.0%増になるとの見通しを発表した。ロシアとウクライナの戦争による悪影響を受けて従来予想の4.7%増から下方修正見通し、物価の急上昇による食糧危機のリスクにも警告を発した。

WTOの報告書は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が引き続き景気回復の重しとなっている上、長期化するウクライナ戦争が世界経済に打撃を与えたと指摘した。

WTOのオコンジョイウェアラ事務局長は「この紛争の経済的影響はウクライナ国境をはるかに越えて広がる」とし「パンデミックと戦争のダブルパンチがサプライチェーン(供給網)を混乱させ、インフレ圧力を高め、生産と貿易の成長予測を低下させたことは明らかだ」と語った。

一方、23年の世界貿易は3.4%増と予測。22年と23年の予測は戦争による影響で通常より不確実だと指摘した。

オコンジョイウェアラ氏は、穀物などの主要供給国であるウクライナとロシアからの輸出の混乱によって食糧危機の恐れがあり、輸入に頼るアフリカの約35カ国を含む低所得国が最も大きな打撃を受ける可能性があると警告。「食糧暴動の回避に向け断固として行動する必要がある」と述べ、より透明性のある監視システムの必要性と、価格を下げるための備蓄在庫の解放の可能性を指摘した。

また、多国間貿易システムが2地域圏に分裂するリスクを回避するため、各国に対して多国間貿易システムに関与し続けるように促した。「もし分裂事態になれば、世界経済へのコストはかなり大きくなると思う」と述べた。

WTOのチーフエコノミスト、ロバート・クープマン氏は「世界経済は極めて困難な状況にある」としつつ、貿易は引き続き回復力があり、グローバル化の終わりとする警告に根拠はないとして「これまでのところリショアリング(外国に移した拠点の自国回帰)の形跡はない」との見解を示した。

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