免疫力の低下を示す4つのシグナル「でも、改善方法はあります」(2)
(前稿より続く)
では、弱った免疫システムを強化し、正常な免疫力を回復させることは可能でしょうか。
その問いに対する「明るい結論」を2つ、先に申しましょう。
1つは、現在の免疫システムの状態にかかわらず、いくつかの適切な方法を実践することで免疫システムを強化し、免疫力を回復できること。
もう1つは、その方法は、わざわざ病院に行かなくても、私たちの日常生活のなかで実践できるということです。
免疫力の回復および強化には、以下の6つの方法が有効です。
1、免疫系に必要な栄養素を摂取する
免疫系の細胞は、特にビタミンCやベータカロチンなどの抗酸化物質を必要とします。
それらを多く含む代表的な食品は、新鮮な野菜や果物です。
ケールなどの濃緑色の葉野菜。ブラックベリーなどの濃い色のベリー。キャベツ、ブロッコリー、ルッコラなど腸に優しい繊維質をふくむアブラナ科の野菜。これらはいずれも大いに薦められる食物です。
ミネラルの一種である亜鉛とセレンは、免疫力を支える栄養素でもあります。ナッツ類、ヒマワリなどの種子類、貝類、一部の肉類に含まれています。
そのほか、シイタケやキクラゲ、緑茶、ターメリック(ウコン)、ローズマリー、クローブなども、日常の食生活にぜひ活用してください。
2、適度に日光を浴びる
1日に10~15分の日光欲で、十分なビタミンDが得られます。このビタミンは免疫系を支える重要な栄養素です。
いくつかの科学的データは、ビタミンD不足が自己免疫疾患や免疫不全の危険因子であることを示唆しています。
そのため、免疫力が弱くなっている人は、ビタミンDレベルをチェックしたうえで、必要に応じてビタミンDを摂取することが望まれます。
3、睡眠の「質と量」を大切にする
睡眠の質と量は、免疫力に大きな影響を与えます。
現在、免疫力が弱くなっている人は、今日から睡眠の改善に努めてみてください。
慢性的な睡眠不足は、炎症の悪化や長期化、あるいは頻繁な感染を招きます。
それに対し、良質の睡眠によって体が十分に休養できれば、免疫系の細胞は、ウイルスや細菌との「激しい闘い」に集中できるのです。
また、良質の睡眠は、細菌やウイルスに対する記憶抗体の形成を促進します。これは将来、より強力な免疫システムが求められる段階に至ったとき、その構築に役立つ可能性があるとされます。
4、喫煙しない(断煙)
タバコ(電子タバコを含む)を吸うことは気道に対して、明らかに有害です。
人間の気道は、空気中に浮遊するウイルスや細菌が口から侵入したときに、体内に定着するのを防ぐ「第一の防衛線」です。
いまタバコを吸う習慣のある人は、このコロナ禍を一つの機会として禁煙、いや完全に断つという意味で「断煙」を実行してください。
5、飲酒の制限
飲酒によるアルコール摂取は、私たちの免疫細胞にマイナスの影響を与えます。飲酒も、できるだけ控えるか、飲まないことをお薦めします。
飲酒に伴いがちな過食は、消化管系を防御するT細胞および好中球(白血球の一種)に有害です。これにより腸内のバリアが破壊されると、病原菌が血液中に入り込んで炎症を起こすのです。
6、ストレスを管理する
過度な精神的および肉体的ストレスは、炎症性サイトカインの放出を促進します。そのため、ストレスが大きい人は、精神的負担だけでなく、体に起きる炎症レベルも高くなるのです。
このようにならないため、私たちはストレスを上手に管理しなければなりません。
その方法の一つとして、心を静めて瞑想する、呼吸をゆっくり深く行うなどの、自分でできるエクササイズも有効です。
(翻訳編集・鳥飼聡)