ヒトラーが見せたくなかった写真

1920年代に撮影されたアドルフ・ヒトラーの一組の写真は、公にされる予定はなかったといいます。このナチスの指導者は、これらの写真を「人の尊厳を損なう」と表現していました。

当時、ヒトラーはドイツのあるビアホールで演説のリハーサルを行っていました。様々なポーズをして、写真家のハインリヒ・ホフマンに撮らせて、どれが良いかを選んでいたのです。

当時の写真は、後に、ホフマンが書いた『Hitler Was My Friend』が出版された時にようやく公になったのです。

「彼がこうするのも無理はない」。歴史家のロジャー・ムーアハウスが英字新聞「デイリー・テレグラフ」に対してこう述べました。

「今見れば、ヒトラーのイメージは決して良くはないが、当時は、ヒトラーが人々を偉大な時代へ連れ戻すと、誰もが信じていたのだ」

「彼は影響力のある演説家だった。これらの写真は彼がいかに努力したかを裏付けている」

「今、ヒトラーの演説を聞けば、暴言を吐いているとしか聞こえないが、当時は、非常に説得力があったのだろう」

「これらの写真を通じて、ヒトラーのリハーサルの過程が伺える。彼は役者で、彼がポーズを選び、決定することには、『国民の特別な反応を得る』という目的が隠されていた。ホフマンに撮らせることで、客観的に見て、国民がどんな反応をするのかが分かり、『いや、このポーズは愚かに見える』『二度とこのポーズをしない』と自分のイメージを改善していくのだ」

本来、これらの写真が公開される予定はありませんでしたが、ムーアハウスは、「現代的な政治家として、ヒトラーは自分の公のイメージを非常に重んじていた」と言います。

(翻訳編集・天野秀)

ニューヨークを拠点とするエポック タイムズの速報記者。