中国当局、国民の出国を「厳しく制限」 旅券にハサミ入れも
中国国家移民管理局は12日、感染対策の一環として国民の「不要不急の出国を厳しく制限する」との声明を発表した。インターネット上では、当局が空港で海外へ渡航しようとした市民のパスポート(旅券)にハサミを入れたとの情報が流れた。なかに米国永住権(グリーンカード)にハサミを入れて破棄したケースもある。
国家移民管理局の声明によると、中国公安省次官および国家移民管理局長の許甘露氏は10日の会議で、「厳しい出入国政策を実施し、国民の不要不急の出国を厳しく制限し、出入国に関する書類を厳格に審査する」と指示した。
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)などの報道では、最近中国各地の空港は出入国審査を強化した。広州白雲国際空港の入国審査官はタイなどからの帰国者に対して、海外での滞在状況や再出国の予定などを詳しく聴取しており、その場で帰国者のパスポートを破棄したケースも起きた。
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中国系アメリカ人の女性が米国人の夫ともに、中国国内で迫害される法輪功学習者の父親を渡米させようとしたが、税関職員が父親のパスポートを破棄したため、出国できなかった。中国滞在中は数十人の警官から監視、尾行が続き、行動を抑制されつづけていたという。
中共ウイルス(新型コロナウイルス)の発生源である中国武漢市の出入国管理局は、市内の公務員らに対して、所持するパスポートを勤務先に渡すよう要求した。中国当局は、武漢市の感染の実態が海外に漏えいすることを警戒しているとみられる。
中国当局はこのほど、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染防止対策として、不急の出入国手続きの処理を一時中止すると発表した。中国の一部のネットユーザーはSNS上で、パストートの申請や更新を拒否されたと訴えた。同措置は中国当局の内循環(国内大循環)経済政策に合わせ、米国とのデカップリング(切り離し)をする下準備であるとの見方がある。