中国当局はこのほど、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染防止対策として、不要不急の出入国手続きの処理を一時中止すると発表した。同措置は中国当局の内循環(国内大循環)経済政策に合わせ、米国とのデカップリング(切り離し)をする下準備であるとの見方がある。
中国国家移民管理局の陳傑報道官は7月30日の記者会見で、「不要不急の出国はしないでください」と、緊急性のない出国計画をキャンセルまたは延期するよう呼びかけた。
移民管理当局は引き続き、国境を跨ぐ国民の移動を厳しく規制し、国民の出入国書類を厳格に審査するとした。
陳氏によると、今年上半期において、中国当局は33万5000通のパスポートを交付した。使用目的は主に、海外での留学や就職、ビジネス関係だという。発行数としては、2019年同期の2%にとどまっている。
中国国内のインターネット上では過去数カ月、パスポートを申請したが却下された、または出国手続きの審査を拒まれたなどと訴えるネットユーザーが増えた。また、パスポートが出入国管理当局の職員に破られたと明かしたネットユーザーもいた。
中国上海市に住む学者の陳明慧氏は、「当局は今までもパスポートの発行や国民の出国を制限してきた。今、パスポートの申請がさらに難しくなっている」と大紀元に語った。当局は数年前、同氏のパスポートを取り上げ無効にした。
教師である山東省の李さんは「学校の責任者が私たちのパスポートを管理している。今、外国に行こうと思うなら、まず上層部の許可がないとだめだ」と話した。
また、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)は2日、米国の企業で勤務している中国人社員も、中国総領事館にパスポート更新を拒否されたと報道した。中国人社員らは、有効なパスポートがないため、海外出張ができず困っていると不満を口にし、「米国で弁護士に依頼して、ロサンゼルス中国総領事館を相手取り訴訟を起こすつもりだ」と述べた。
陳明慧氏は「防疫は口実に過ぎない」と指摘し、中国当局がグローバル経済から脱却し、内循環政策を始めるシグナルだとした。国際社会は今、中国当局の戦狼外交や人権侵害問題に厳しい目を向けていることがその背景にあるという。
RFAによると、中国人時事評論家の方原氏も、この措置は対米貿易戦や金融戦に対応するためにあるとした。
「出国規制と米市場に上場した中国企業への取締りと合わせてみると、当局の貿易戦と今後の金融戦に備えるアクションだと推測できる。当局は、国内の資源を統合しようとしているのが分かる」
(翻訳編集・張哲)
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