英国の中国専門家チャールズ・パートン(Charles Parton)氏は1日付のデイリー・テレグラフ紙に寄稿し、「ゼロコロナ」政策が行き詰まり、オミクロン変異株の蔓延によって中国は苦境に立たされるだろうと指摘した。
パートン氏は記事の中で、中国共産党のいわゆる「ゼロコロナ」政策が、全体主義的な封鎖と国民への監視に基づいていることを指摘している。
同氏によると、中国の習近平総書記はこの政策によって中共ウイルス(新型コロナウイルス)との戦いに勝てると考えているようだ。しかし、オミクロン株は彼の間違いを証明し、彼の権威を大きく失墜させる可能性があるという。
中共ウイルスの蔓延は、中国共産党の世界的な評判を落としている。これは、ウイグル人迫害、香港での民主主義の廃止、台湾への脅迫に加え、もう一つの罪状となったのだ。
パートン氏によると、中共ウイルスの追跡調査への協力拒否、医療保護具を使った「いじめ外交」、欧米の感染拡大への揶揄は、中国共産党の本当の姿を世界に知らしめた。各国が対中政策を見直すきっかけにもなった。
一方、国内外では、中国共産党が「ウイルスとの戦いに成功した」などのプロパガンダを展開している。中国共産党が感染者数と死者数を隠していることを無視すれば、中国共産党の「ゼロコロナ」政策は功を奏し、ウイルスは制御されているように見える。
実は、この「ゼロコロナ」政策は、オミクロン株の出現以前から問題になっていた。中国製のワクチンは十分な効果がないため、集団免疫を獲得できないまま、厳しい封鎖と監視が解除されると、ウイルスは急速に蔓延する。オミクロン株のような感染力の強いウイルスでは、どんな全体主義的なツールでもそれを封じ込めることができない。したがって、パートン氏は、この「ゼロコロナ」政策は最終的には成功しないと考えている。
だが、中国共産党は「党は常に偉大で正しい」というプロパガンダのもと、自らの過ちを認めることができず、専門家からの疑問も許さない。プロパガンダ機関は、その「ゼロコロナ」政策が、中国のいわゆる「全過程にわたる人民民主」が西側諸国のそれより優れていることを示していると国民に信じ込ませるために、あらゆる手段を講じている。
パートン氏は、中国共産党とその指導者がいかなる間違いも認めようとしないため、中国共産党が「ゼロコロナ」以外の「プランB」(代替策)を実行することが困難になっていると指摘する。
中国人民は長い間、中国共産党の専横とそのプロパガンダの欺瞞に耐えてきた。パートン氏は、近い将来、オミクロン株の拡散による惨状を前に、「ゼロコロナ」のために大きな犠牲を払った中国の人々が耐え続けるかどうかも懸念されると述べた。
中国経済はウイルスの発生以前から混乱していたが、今はさらに状況が悪化している。現在、輸出は好調だが、これは持続不可能である。サプライチェーンの寸断、消費の低迷、中国技術への排除などにより、多くの中国企業でレイオフ(一時解雇)が行われている。
中国共産党はウイルスの蔓延を抑えるため、世界から孤立した状態を続けている。また、産学官民の国際交流の減少により、中国に対する疎外感や不信感が高まっている。
中国共産党は国内で中共ウイルスに対する「人民戦争」を展開しているだけでなく、その好戦的な姿勢を世界にも広げている。中国共産党は、ウイルスの発生源を探るための諸外国との協力も、世界保健機関(WHO)への協力も、欧米の科学者との協力も拒否し、自らの狭い利益のためにパンデミックを利用しているだけである。
パートン氏は、中国共産党は「ウイルスの政治化(ウイルスを政治利用したこと)」で大きな代償を払うことになるだろうと記事を締めくくった。
(翻訳編集・王君宜)
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