独裁者を倒す「側近の離反」 習近平にも内通者の可能性

2026/03/05 更新: 2026/03/05

ベネズエラのマドゥロ大統領が米軍に逮捕され、イランの最高指導者ハメネイ師がアメリカとイスラエル軍によって殺害されたことで、中国共産党(中共)党首の習近平の将来の行方にも注目が集まっている。分析では、独裁者の側近に潜む「内通者」が彼らの失脚を加速させたとの見方もある。仮に習近平が暗殺の標的となれば、周囲に内通者が少なくない可能性もあるとの指摘が出ている。

報道によると、今年1月にマドゥロ氏が拘束される前、側近の情報提供者がその潜伏場所を事前にアメリカ側へ伝えていたという。米軍はこの情報を基に、同じ環境を再現した施設を建設し、特殊部隊が繰り返し訓練と演習を行った。こうして今年1月3日の急襲作戦で、マドゥロ氏を官邸で生け捕りにした。

一方、イランの最高指導者ハメネイ師の動向については、米中央情報局(CIA)とイスラエルの情報機関モサドが長期間にわたり秘密裏に追跡していたという。数か月にわたる日常の行動パターンを把握したことで、今回の短い好機を捉え、ハメネイ師と数十人のイラン高官を爆撃で殺害した。

こうした分析では、両独裁者が急速に失脚、あるいは死亡した背景には、側近の中に米軍やイスラエル軍へ情報を提供した内通者が存在した可能性が高いと指摘されている。

時事評論家の方偉氏は、Xで「側近の離反は、暴力によって統治する独裁者が最も恐れるものだ。彼ら自身、部下が信念から従っているのではなく、利益や恐怖によって命令に従っていることを知っているからだ」と分析した。

では、習近平の周囲にも内通者がいるのか。現時点では明らかになっていない。しかし、方氏はCIAが公開した募集動画をもとに、注目すべき数字を挙げている。

昨年4月以降、CIAは簡体字中国語で4本の「情報提供者募集」動画を公開した。これらはYouTubeだけでも現在までに合計1億1500万回以上再生されている。寝返る理由や対象者別に、次のような数字が示されている。

米CIA Youtubeチャンネルスクリーンショット

1.「協力する理由 自らの運命の主導者となるために」
対象 中共高官
再生回数 約2千万回

2.「協力する理由 より良い未来を築くために」
対象 中共高官の補佐官
再生回数 約1500万回

3.「CIAへの安全な連絡方法」
対象 CIAと連絡を取りたいすべての人
再生回数 約6400万回

4.「立ち上がる理由 未来を救うために」
対象 中共軍の将校
再生回数 約1700万回

方氏によると、CIAが公開している他の動画の再生回数は7万〜13万回程度にとどまる。一方、これらの勧誘動画の再生回数が合計1億1500万回を超えていることについて、「習近平の周囲にいる多くの人がこれを見ており、考え、検討し、準備していることを意味する」と指摘した。

方氏はさらに、「将来、習近平が拘束されるか、あるいは爆殺されるような事態が起きたとしても、その前にどれだけの中共内部の人間が離反し、米軍に情報を流していたとしても、私は全く驚かない。これは現代版の『悪行を重ねれば必ず自滅する』ということだ」と述べている。

これに対し、ネット上では次のような投稿も見られた。
「長官、こちらです。私が案内します(Sir, follow me, I’ll show you the way)。中国本土の人々はこの英語を一生懸命覚えている。できれば早く使える日が来てほしい」

中国国内では次のような皮肉めいた言い回しも広まっているという。
「恨みには相手があり、借金には貸し手がいる。前へ進み右に曲がれば政府だ」
「首が落ち血が流れても構わない。死んでも『(米軍の)案内役』になりたい」

時事評論家の周暁輝氏も大紀元に寄稿し、将来もし米中が軍事衝突した場合、米軍の能力を考えれば、中共高官が標的となり、一挙に排除される可能性も決して否定できないと分析した。

こうした状況の下で、命を守ろうとする彼らは中共と習近平に最後まで付き従うだろうか。習近平に従ってアメリカと対抗し続けるだろうか。これは、中共上層部では表面上は平穏を保っているものの、実際には分裂が深まりつつあり、習近平や中共への忠誠心も形式的なものにとどまっていることを示している。

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