習近平の表情から心情分析 「悲しみ」が大幅増加=台湾の研究員

2026/05/29 更新: 2026/05/29

中国共産党総書記の習近平は今年に入って以降、海外訪問を行っておらず、北京市を離れる機会も目立って減少している。専門家がAI(人工知能)を用いて習近平の表情の変化を分析した結果、「悲しみ」や「嫌悪」の感情が大幅に増加していることが判明したといい、軍上層部に対する粛清との関連を指摘する見方が浮上している。

習近平は半年以上にわたり外遊を行っておらず、中国国内の視察も近距離の日程に限定されるケースが多く、北京を離れる機会は少ない。直近の外遊は昨年10月から11月にかけての韓国訪問だった。今年4月末には上海を訪れ、基礎研究の強化をテーマとする座談会に出席している。

読売新聞によると、台湾の政府系研究機関の中央研究院の研究員・蔡文軒氏は、習近平が遠距離の移動を控えている背景には、中国共産党(中共)内部の政治情勢の変化がある可能性があると分析している。

中国政治を研究する蔡氏は、中共の官製メディアの映像に映る習近平の表情をAIで解析。2015年と2025年の軍事パレードにおける表情を比較したところ、「悲しみ」の割合は17.3%から48.6%へ、「嫌悪」は5.8%から13.6%へと、それぞれ大幅に上昇したという。

蔡氏は長年にわたり、中国中央テレビ(CCTV)のニュース番組など公開映像をAIで分析し、習近平の感情や体形、健康状態に関する研究を続けており、近年は学術講演も数多く行っている。

蔡氏は、昨年北京で行われた軍事パレード当日、習近平が軍内部に何らかの潜在的なリスクを感じていた可能性があると指摘する。習近平は権力基盤の強化を図るため、自ら抜擢した軍幹部であっても粛清の対象とする姿勢を示してきた。一方で、中央軍事委員会副主席・張又俠の部下が全国各地に広く配置されていたことから、軍内の不満が高まり、報復への懸念を抱いていたとしても不思議ではないとの見方を示した。

昨年9月の軍事パレードを目前に控えた時期には、習近平に近い軍幹部とされる中央軍事委員会元副主席の何衛東や、軍事委員会政治工作部元主任の苗華らを含む9人の上将が同日に党籍と軍籍を剥奪され、軍事検察当局へ送致された。

当時、軍事パレード直前という敏感な時期に習近平の側近と目されていた9人の軍幹部が失脚した背景には、張又俠の主導があったとの見方が広がった。張又俠はかつて習近平の軍内における最側近の一人とみられていたが、習近平による軍粛清の過程で自身も影響を受けたため、反撃に転じざるを得なかったとの分析も出ている。

今年1月24日には、張氏と中央軍事委員会連合参謀部参謀長の劉振立がそろって失脚した。専門家の間では、これは習近平による張又俠への最終的な反撃だったとの見方が示されている。

関連特集: 中国政治