WTO、中国による730億円の対米報復関税を認める 米国「深く失望」

2022/01/27 更新: 2022/01/27

世界貿易機関WTO)は26日、中国が米国に対して年間最大6億4500万ドル(約730億円)相当の報復関税を課すことを認める仲裁決定を下した。米当局は「深く失望している」とし、WTOの改革の必要性が浮き彫りになったとしている。

米国は、政府補助金により不当に廉価で輸出しているとして中国産の太陽光パネルや鋼管類など22品目に相殺関税を課していた。中国はこの措置を不当だとして2012年、WTOに提訴した。さらに2019年には米国製品に24億ドルの関税を課すことを認めるよう主張。米国は中国製品により被る損失のほうが大きいと反論していた。

米通商代表部(USTR)のホッジ報道官は今回の決定を批判し、WTOが「中国の非市場主義的な経済慣行を擁護し、公平で市場志向型の競争を弱体化させる」と懸念を示した。

対中貿易赤字を重く見たトランプ政権は幅広い分野の中国製品に関税を追加しており、バイデン政権以降も継続している。バイデン氏は19日の記者会見で、中国の望む「関税の撤廃は時期尚早」との考えを明らかにした。米国製品購入の約束履行を中国が守っていないことを理由に挙げている。

米国のシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所(PIIE)が12月23日に発表した米中貿易の調査結果によると、トランプ政権時代に結んだ「第1段階の合意」の目標達成は困難であることがわかった。米国産の輸入を2年間で計2000億ドル(約22兆円)以上増やすとの約束だが21年11月時点で約60%しか達成できていない。

蘇文悦
蘇文悦
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