米中 貿易枠組みに合意 レアアース輸出規制の解決に道筋

2025/06/11 更新: 2025/06/11

米中両国の通商交渉チームは、6月9日から10日にかけてロンドンで行われた閣僚級協議を行って、貿易問題に関する新たな枠組みに合意した。ロイター通信によると、中国共産党(中共)の李成鋼商務次官は協議後、両国が貿易をめぐる包括的な枠組みに合意し、それぞれの首脳に報告する方針であると述べた。

ラトニック米商務長官も、月にスイス・ジュネーブで両国が合意した内容の実施に向けた枠組みが整ったと明らかにした。ラトニック氏は、合意が着実に履行されれば、アメリカ側が懸念していた中国によるレアアース(希土類)の輸出規制は「解消されるだろう」との見通しを示している。

今回の協議は、長引く輸出規制問題の打開を目指して行われた。ラトニック長官は交渉について「順調に進んでいる」と述べ、10日夜の合意を目指しているものの、11日まで続く可能性にも言及した。

焦点となったのは、レアアースなど戦略物資に対する中国の輸出規制と、それに対抗してアメリカが導入した半導体設計ソフト、航空機エンジン部品、化学製品、核関連物質などの対中輸出規制措置の扱いである。事情に詳しい関係者によれば、アメリカは中共側が輸出規制を緩和すれば、一部の輸出規制措置を撤回する用意があるとされる。

アメリカ側は、先月のジュネーブ合意で中国がレアアースの対米輸出拡大に応じたと理解しているが、最近では中共がその約束を履行していないとして、輸出の留保を批判していた。今回のロンドン協議では、そうした合意の履行状況を確認し、中共側による規制緩和の確約を得ることがアメリカ側の主な目的となった。

交渉に臨んでいるアメリカ代表団は、ベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリアー通商代表で構成されており、中共側は国務院副総理の何立峰、王文濤商務部長、そして商務次官で国際貿易交渉代表を務める李成鋼らが出席している。

今回のロンドン協議で米国が重視しているのは、中共によるレアアース輸出規制の緩和を確実にすることだ。事情に詳しい関係者によれば、これに対する見返りとして、トランプ政権はここ数週間の対中関係悪化を背景に導入した半導体設計ソフト、ジェットエンジン部品、化学製品、核関連物質などに関する一連の輸出規制措置の解除を検討しているという。

ベッセント長官は10日夜、議会証言のためワシントンへ向けてロンドンを離れたが、「2日間にわたり有意義な協議が行われ、交渉は今も継続している」と述べた。

協議はロンドン中心部にある歴史的建造物ランカスター・ハウスで行われた。両代表団は10日午後にいったん休憩を挟み、午後8時すぎに現地へ戻り、最終合意に向けた詰めの協議を行った。

張婷