中国の輸出禁止に日本が強く抗議 レアアースの「中国頼み」脱却へ加速

2026/01/08 更新: 2026/01/08

令和8年1月8日午後、日本の外務省において、船越健裕外務事務次官と呉江浩(ご・こうこう)駐日中国大使による会談が行われた。この会談は、緊迫する日中関係について直接意見を交わす場となった。

外務省による抗議と措置の撤回要求

会談の中で、船越事務次官は、中国商務部が発表した日本に対するデュアルユース(軍民両用)品目の輸出管理強化措置に言及した。船越次官は、この措置に対して「改めて強く抗議」を行うとともに、措置の即時撤回を中国側に強く求めた。外務省幹部は、今回の中国の動向を「威圧的外交の一環」と捉えている。

経済的インパクトと「二正面作戦」

日本金融経済研究所の馬渕磨理子代表理事は、今回の日中摩擦の事態を「経済安全保障の構造的脆弱性」が露呈したものと分析している。馬渕氏のレポート「中国の対日レアアース輸出規制 ― 経済安全保障の構造的脆弱性とサプライチェーン再構築の課題 ―(2026年1月7日付)」が指摘する主要なポイントは以下の通りだ。

  • 「二正面作戦」の展開: 中国は1月6日の軍民両用品目の対日輸出禁止に加え、翌7日には半導体製造材料「ジクロロシラン」の対日アンチ・ダンピング調査を開始した。これは「輸出も止める、輸入も締め出す」という、経済合理性よりも政治的メッセージを優先した強硬な姿勢であると分析される。
  • 甚大な経済損失: レアアースの輸入が3カ月停止すれば約6,600億円、1年間では約2.6兆円の経済損失が日本に生じると試算されている。
  • 産業への影響: 特に自動車産業(EV・HV)への打撃が深刻で、生産量の17.6%減少が見込まれるほか、エアコンやスマートフォンなどの家電製品の供給制約や価格高騰も懸念される。
  • 中国の市場支配力: 採掘量もさることながら、精製・加工工程において中国が世界市場の91%を占有していることが、サプライチェーンにおける最大の構造的ボトルネックとなっている。

背景と今後の予測

今回の中国による措置は、日本の防衛政策強化や高市政権の対中政策に対する「報復」としての性格を示している。

今後の予測として、日本政府はサプライチェーンの自律性確保(デリスキング)を加速させることになる。具体的には、以下の動きが注目される。

  1. 国内資源の開発: 2026年1月11日より、探査船「ちきゅう」が南鳥島沖のEEZ内での深海レアアース泥試掘を開始する。ここには国内需要の数百〜数千年分に相当する埋蔵量があるとされる。
  2. 調達先の多角化: ベトナムやタイからの調達拡大、豪州ライナス社を通じた「中国を経由しないサプライチェーン」の活用を一層強化する。
  3. リサイクルと技術開発: 都市鉱山からの回収技術や、中国依存が高い重希土類を使用しない磁石技術の研究開発が急務となる。
地図上の南鳥島(出典:東京都総務局)

日中関係の現状と展望

日中関係は現在、「日中戦略的互恵関係」を謳い、歴史問題などを棚上げしつつ、経済、環境、安全保障など多分野で共通の利益を追求し、相互に利益を得ながら協力関係を発展させるとしている。しかし、今回の日中摩擦の激化は、表面的には互恵関係を装いながらも、根本的に日本と中国共産党政権は価値観が相容れず、安全保障上は敵対しているという歪みが表面化したものと言える。

以上の状況を鑑みると、日中関係がこのまま円滑に修復されるという流れは当分見えてこない。日本政府は、この緊迫した関係性を前提に、国産資源の確保や中間工程の対中依存からの脱却といったリスク回避策を、次々と進めていくことが予想される。

同じ屋根の下で経済という食事を共にしながら、背後ではお互いに安全保障という武器を隠し持っているような不自然な共生が、限界に達した状態を象徴している。信頼という土台が揺らぐ中、日本は自立という新たな柱を打ち立てる必要に迫られている。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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