企業倒産 2年連続1万件超えへ 物価高と人手不足が中小企業を圧迫

2026/03/11 更新: 2026/03/11

企業倒産が再び増加傾向を強めている。帝国データバンクの最新集計によれば、2025年度の倒産件数は2年連続で1万件を超える見通しであり、物価高や人手不足など複合的な要因が中小・小規模事業者を圧迫している。高市政権は物価高対策などを打ち出しているものの、倒産動向に歯止めがかかっているとは言い難い。

帝国データバンクが発表した「倒産集計2026年2月報」によると、2026年2月の全国企業倒産は833件となり、前年同月比で8.5%増加した。倒産件数は3か月連続で前年を上回っている。2025年度(2025年4月~2026年2月)の累計は9482件に達し、年度ベースでは2024年度に続き2年連続で1万件を超えることがほぼ確実な情勢となっている。

倒産の主因を見ると、「販売不振」などを中心とする不況型倒産が全体の81.4%を占めた。現場では「人手不足倒産」や「後継者難倒産」「物価高倒産」が前年を上回るペースで発生しているほか、「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」も2月単月で前年同月を上回るなど、企業は複合的な経営圧力に直面している。

規模別では、負債額5千万円未満の倒産が6割強を占め、小規模事業者への打撃の大きさが際立っている。コロナ禍を何とか乗り越えた企業でも、その後の原材料価格の上昇や人手不足、ゼロゼロ融資の返済開始などにより資金繰りが急速に悪化し、淘汰が進んでいる実態が浮かび上がった。

こうした状況を受け、高市政権は「責任ある積極財政」を掲げ、物価高対策を柱とする経済政策を進めている。令和7年度補正予算では、ガソリン・軽油価格の引き下げや電気・ガス料金支援、重点支援地方交付金の拡充などを盛り込んだ。

とりわけ、過去最多水準となっていた医療機関や介護事業者の倒産に対しては危機感を示し、報酬改定を待たずに「医療・介護等支援パッケージ」を補正予算に前倒しで計上した。賃上げ支援などを含む対策を打ち出し、業界への迅速な対応を図った。

しかし、企業倒産全体の動向を見る限り、政策効果が広範に表れているとは言い難い。物価高対策は順次執行されているものの、建設業や飲食業を中心とする中小・小規模事業者では、人手不足や人件費上昇、資金繰り悪化の影響が続いており、倒産件数の増加に歯止めをかけるには至っていない。

さらに、政府が検討を進めている新たな施策が、特定業界に影響を及ぼす可能性も指摘されている。高市首相は中低所得者の負担軽減策として、飲食料品に限り2年間、消費税をゼロ税率とする方針を示している。

これに対し、外食業界では懸念が強まっている。仮に飲食店での食事が減税対象外となった場合、スーパーやコンビニで販売される食料品や惣菜との間で税率差が生じることになる。消費者の購買行動が変化し、飲食店離れが進めば、原材料高や人手不足に直面する外食産業の経営環境がさらに悪化し、倒産増加につながる恐れがあるとの指摘である。

高市政権は物価高対策や「危機管理投資」「成長投資」を通じて経済の立て直しを図っているが、足元ではコスト高と人手不足が長期化し、中小企業の経営を圧迫し続けている。経済対策の効果が実体経済の隅々まで浸透するには時間がかかる可能性がある。

今後は、食料品消費税減税がもたらす外食産業への副作用への対応に加え、中東情勢の緊迫化による原油価格上昇リスクなども視野に入れた、きめ細かな中小企業支援が求められる局面となっている。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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