中国経済の下振れ鮮明に 第3四半期の成長率は4.8%に減速

2025/10/22 更新: 2025/10/22

中国共産党(中共)は第4回全体会議(四中全会)の開催にあわせ、10月20日に第3四半期(7~9月)の国内総生産成長率が4.8%にとどまったと発表した。数値の信憑性には疑問の声が上がっているが、経済の減速傾向は隠しきれない状況だ。住宅市場は下落傾向を続け、内需は低迷し、企業は激しい価格競争とデフレの悪循環に陥っている。専門家は、中国経済の構造的な不調が深刻化しており、当局が掲げる各種の経済刺激策によっても立て直しは難しいとの見方を示している。

中国国家統計局が20日に発表した報告によると、第3四半期の成長率は前期(第2四半期)の5.2%を下回り、2024年第3四半期以降で最も低い水準となった。中共当局はこれまで景気回復を強調する姿勢を崩していないが、その経済指標の信頼性には常に疑念がつきまとっている。それでも今回の発表値は、経済の下振れを覆い隠せない実態を示している。

専門家の分析によると、国内需要の弱さが中国経済の大きな足かせとなっている。現在、中国経済はデフレ局面が深まり、企業の利益率は縮小の一途をたどっている。さらに、価格競争の激化と過剰生産能力がデフレスパイラルを加速させる要因となっている。また、不動産市場の低迷が消費者および企業心理の冷え込みを招いている。

米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、中国国家統計局が週明けに発表したデータを基に、9月の中国主要都市の平均住宅価格が前月比で0.4%下落したと報じた。下落幅は8月の0.3%を上回っている。今年1~9月の9か月間では、全国70の大中都市の平均住宅価格が前年同期比で4.1%下落した。

専門家は、内需の鈍化により、中国経済が製造業および輸出に依存する構造を一層強めていると指摘している。その一方で、米中間の貿易摩擦が再び激化しており、中国経済に深刻な打撃を与えかねないとの懸念も強まっている。

最近、中共当局はレアアースやその他の重要素材に対して広範な輸出制限を導入した。これに対し、トランプ大統領は11月1日から中国からの輸入品に100%の追加関税を課すと発表した。

米国のトランプ大統領は記者団に対し次のように語った。
「彼ら(中共)はそれほど高い関税を支払うことはできないかもしれないが、私はそれで構わない。我々は関税を引き下げてもいいが、彼らも我々のために何かをする必要がある。もはやこれは一方通行ではない」

トランプ大統領はさらに、中共がレアアース、フェンタニル、大豆の問題で譲歩する必要があると明言した。今年9月、中国はアメリカ産の大豆を1粒も購入しておらず、これは2018年11月以来初めてのことだ。

トランプ氏は次のようにも述べた。
「私は彼らが大豆を購入すると思っている。そうでなければ合意を結ばない。彼らに買ってもらいたい。我々の農家は中共に交渉の駒として利用され、締め出されてきた」

一方、中国当局は20日、李成剛・常駐世界貿易機関(WTO)代表の更迭を正式に発表した。今後数日以内に、米中双方の代表団が新たな貿易協議を開始する予定となっており、この人事異動が注目を集めている。先週、アメリカのベッセント財務長官が李成剛について「招かれざる客のように振る舞う、低俗な『戦狼』だ」と揶揄したこともあり、この発言が李の更迭につながったとの見方も出ている。

専門家は、米中競争が一層激化する中で、高度技術製造業の育成を重点的に進める方針が、中共の今後5年間の経済計画の中心になるとの見方を示している。同時に、中共政府は内需喚起に向けた追加の景気刺激策を打ち出す可能性もあるが、その実効性については依然として懐疑的な見方が根強い状況だ。

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