色彩の人に対する影響は、大昔にすでに発見されていました。例えば、隋朝の煬帝は、糖尿病を患い、常に体が熱く感じ、口の中も乾きました。どんな医者もなすすべがなく、仕方なく、ある大臣が煬帝に2枚の絵を寝室に掛け、毎日見るよう進言しました。
1つは雪景色の絵で、真冬の凍てつくような寒さを見事に描いており、もう1つは梅林の絵で、すっぱそうな青梅がたくさん描かれています。
煬帝はこの雪景色の絵で熱っぽい症状が多少改善し、梅の絵で口の中の唾液が分泌され、渇きも軽くなったといいます。
もう一つの事例があり、それはヒトラーにまつわるお話です。ヒトラーは幼いころ、絵画を得意としていたのを皆さんご存じでしょうか。第二次世界大戦中、ヒトラーは多くのユダヤ人を拘束しましたが、彼らを虐待せず、真っ赤と真緑に交互に塗られた部屋に閉じ込め、24時間ずっと白熱電球をつけていたのです。
間もなくして、監禁されていたユダヤ人たちはみな精神的におかしくなりました。なぜなら、強烈な色合いは人間の精神を刺激し、その上、長時間白熱電球の下にいると、人間の精神はずっと張りつめている状態にあるので、時間が経つと、その人は錯乱状態に陥り、気が狂うのです。
現代社会では、強烈な色は至る場所で見られますが、昔とは違う生活習慣と社会形式なので、錯乱状態にはならないでしょう。しかし、目の刺激にはなります。例えば、ファーストフード店は赤色や黄色などのビビッドカラーをよく使っています。また会社のロゴやロゴマークは青系の色がよく使われています。
実は、それぞれの色にはそれぞれの属性があり、人への影響も異なります。例えば、青系の色を見ると、人は海や空を連想します。
青系の色は人に安心感、信頼感を与え、そのせいか多くの会社のロゴマークも青系の色がメインで、人々に「頼れる」「プロフェッショナル」というイメージを与えています。
黒は人に収縮感を与えます。例えば、黒い椅子は他の色の椅子より場所を取らない感じがしたり、黒い服を身に着けると細く見えたりなどが挙げられます。
また、エアコンをつけず、窓も開けない状況で、寒色系の部屋にいると、暖色系の部屋より少し肌寒く感じ、体感温度3度ほどの差が生じることが、実験を通して分かりました。
それから、赤と黄色の組み合わせが最も人の目を引き付けることをご存じでしょうか。ホットドッグに赤いケチャップと黄色のマスタードを掛けると、ホットドッグがより一層人々の目を引き付け、思わず買いたくなりませんか?街中を見渡しても赤色と黄色をメインにしたロゴマークのファーストフード店は少なくないでしょう。
ただ単にホットドッグが食べたいという方もいるでしょうが、その色合いに食欲をそそられた可能性もあります。ダイエット中の方は、よほどの覚悟と根性を持っていないと、すぐにファーストフードの誘惑に負けてしまうかも知れませんね。
色に食欲が影響されないというのであれば、紫色のおでんや青色の肉じゃがを見ても、まだおいしく食べることができるでしょうか?一般的に暖色系の食べ物は寒色系の食べ物より食欲をそそるのです。ですので、何が何でもダイエットしたいという方は、料理に青や紫、黒などの食用天然着色料をたらして、食べ物をおかしな色に染めると、食欲を抑えることができ、効果的にダイエットすることができるのではないでしょうか。これも一種の色彩心理学です。
(つづく)
(翻訳編集 華山律)
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