タチアオイ(大紀元)

【花ごよみ】タチアオイ

梅雨に似合う花も、いくつかある。

古刹の境内に咲くアジサイも、水辺に群れるハナショウブもそうだが、すっくと立ちあがった背の高い茎に優美な花を重ねるタチアオイ(立葵)も雨の多いこの季節になかなか捨てがたい。

日本では梅雨葵(ツユアオイ)という別名をもつこの花は、かなり古い時代に薬用植物として中国からもたらされたらしい。万葉の歌にも、その姿が見られる。

花が美しいことに加えて、真っすぐに、人の背丈よりも伸びる見事さもあって多くの人に好まれたタチアオイは、江戸期には園芸種として発達した。

ちなみに、徳川家の家紋である「三つ葉葵」はフタバアオイという別種の植物である。

葉は時代劇でよく知られた通りの形状だが、こちらの花はまったく鑑賞に堪えられないものであり、特に薬用にもならないというから、なぜこの植物が家紋として重んじられたのかは歴史の大きなミステリーかもしれない。

紫式部の『源氏物語』若菜下に、自分が犯した罪の重さに苦悩する柏木(かしわぎ)の歌「くやしくぞつみをかしけるあふひ草神のゆるせるかざしならぬに」がある。

歌意は「悔しいことだ。神がお許しになったわけでもないのに、葵を摘むという罪(摘み)を犯してしまった」。柏木は、すでに中年になった光源氏が再婚した若妻、女三宮(おんなさんのみや)を恋するあまり、ついに一線を越えて密通してしまう。

女童が手にもつタチアオイの花を見た柏木の、苦悶するような歌である。 

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