2020年8月7日、アイフォンに表示されるティックトックのアプリ (Drew Angerer/Getty Images)

TikTok、欧州ユーザー情報に中国や日本の従業員が「アクセス可能」

中国動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」は2日、欧州ユーザーの個人データには中国などEU圏外拠点のスタッフもアクセスできると公式に認めた。同アプリをめぐっては、国家安全保障リスクがあるとして、欧米を中心に議員らが利用禁止を求めている。

TikTokはブログでプライバシーポリシーの更新を発表し、中国や日本を含む世界10カ国の一部従業員が欧州のユーザーデータにアクセスできると記した。データは米国とシンガポールに保管しており、必要性に応じてEU一般データ保護規則に基づいてスタッフの「リモートアクセスを許可する」という。

ユーザーの位置情報は、動画投稿の際に場所を手動で追加したり、デバイスの設定でTikTokの位置情報サービスをオンにしたりすることで収集していると述べた。今回のポリシー更新は、「ユーザーへの関連情報の開示を継続的に改善する」ためとしている。

中国にいる同社従業員が米国の利用者データを閲覧していたと新興メディアが6月に報じて以降、TikTokにはセキュリティの疑惑が指摘されてきた。米豪のサイバーセキリュティ企業個人情報の過剰収集を行っていると問題を指摘したほか、ユーザーのキー入力を監視する仕組みが備わっているとする報告書が発表された。

TikTokを運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)を含め、中国企業は政府が制定した国家情報法などの規定に基づき、要請に応じて当局にデータを提供することが義務付けられている。

米連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー委員は2日、セキュリティリスクを理由に米国でのティックトック使用を禁止するよう対米外国投資委員会に求めた。同氏は6月に同アプリをアプリストアから削除するよう、アップルとグーグルに要求している。

いっぽうで、前トランプ政権のティックトック対応について米上院情報特別委員会委員長を務めるマーク・ワーナー議員(民主党)は「トランプ前大統領は正しかった」と発言。台頭する中国大手IT企業への警戒感を露わにした。トランプ氏は同アプリの米国内での使用を禁ずる大統領令に署名したが、昨年、バイデン大統領が撤回している。

今回の発表を受けて、米共和党マーシャ・ブラックバーン上院議員は「中国共産党はティックトックのユーザーデータを自分たちのものとして扱っている」と非難した。

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