飛騨高山で和牛を飼育している牧場。イメージ写真。2018年10月撮影(MARTIN BUREAU/AFP via Getty Images)

牛のゲップを抑制する錠剤…世界市場に登場

豪州連邦科学産業研究機構(CSIRO)によると、メタンガス排出量削減の一環として牛の鼓腸と腹鳴を抑える錠剤が、世界中で販売されるようになった。

科学者たちは、畜産業は農業における第一の排出源であり、世界の温室効果ガスの14.5パーセントを占めると指摘している。カリフォルニア大学によれば、牛1頭が1年間に排出するメタンガスは約100kgであり、このメタンガスは二酸化炭素よりも環境に悪いとしている。

そのため産業界や科学者らは、牛の排ガスの対処法に頭を悩ませていた。

そこでCSIROは、ジェームズクック大学、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)と共同で、牛からのメタンガス排出を軽減できる「海藻飼料」を開発した。

「The Towards Net Zero Mission」のプロジェクトリーダーMichael Battaglia氏は「FutureFeed という会社が創立され、現在、世界中の海藻生産者の協力により、(海藻飼料が)市場に出回り始めた」と述べた。

「一日に一握りの海藻を、油に混ぜて牛の飼料に入れることができる。また、フリーズドライにして粉にし、牛の餌に混ぜて与えることも可能だ」という。

この発明は現在、オーストラリア企業の支援を受けて、世界中の肥育場に輸出されている。

Battaglia氏によれば、カリフォルニア大学デービス校やヨーロッパで行われた試験から、1日20グラム程度の海藻を摂取すれば、家畜によるメタン生成を80〜99%削減できるという。

持続可能性の新たな基準策定を推進

この海藻飼料の販売の動きは、オーガニック団体が国連に対して、畜産業者のための世界的な持続可能性基準の策定を働きかけていることを受けて行われたものだ。

しかし、オーストラリア全国農業者連盟(NFF)のCEOであるTony Mahar氏は、一律的なアプローチに警告を発し、より微妙なニュアンスが必要だとしている。

「オーストラリアの農業システム、特に放牧のシステムは、ヨーロッパや北米のそれとは根本的に異なる。豪州の環境はユニークなので、排出削減や土地管理に対するアプローチもユニークなものになる」とエポックタイムズに語った。

ネットゼロへの挑戦

ネットゼロとは温室効果ガスの排出量を「正味ゼロ」にすることだ。この錠剤は、2035年までに温室効果ガス排出量を半減させるという9000万豪ドルの研究ミッションの一環として、CSIROが開始した取り組みの一つである。

CSIROのCEOラリー・マーシャル氏は、この取り組みには、収益化し、経済成長をもたらす新しい技術の開発も含まれていると述べた。

「これらの産業や地域の変革は、我が国の将来に不可欠だ。オーストラリアの科学は、この巨大な転換期に誰も取り残されることがないようにする。すべてのオーストラリア人がネットゼロへの旅の一部なのだ」と声明を発表した。

CSIROは、農業、鉱業における温室効果ガス排出量削減のための技術開発や、持続可能な航空燃料の製造に注力している。

この動きは、オーストラリア労働党政権が、2030年までに温室効果ガス排出量を43%削減し、2050年までにネットゼロを目指すという野心的なキャンペーンに乗り出すことを受けてのものだ。

政府は州政府とともに、石炭火力発電所の閉鎖、電気自動車の普及のためのインセンティブ、新たな再生可能エネルギー発電所の建設資金など、経済と交通インフラの脱炭素化を目指す一連の施策を展開している。

しかし、エネルギー企業のトップは、これらの取り組みが国民の電気料金を押し上げることを懸念している。

「取得するのに10億豪ドル(6億3000万米ドル)かかったものが、交換に80億豪ドル(50億4000万米ドル)かかるのだから、どうやってエネルギー価格が下がるのかを説明してくれ」と、アリンタ・エネルギー社CEOは述べた。

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