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5.深い睡眠
睡眠には大きく分けて、急速眼球運動(レム睡眠)と非急速眼球運動(ノンレム睡眠)の2つの段階があります。レム睡眠は、多くの人が夢を見る段階に当てはまります。ノンレム睡眠には3つの段階があり、最初の2つは浅い眠り、3つ目は深い眠りになります。
研究者のデビッド・ライト氏によると、ノンレム睡眠の第3段階は、リンパ系が最も活性化するときだといいます。
また、科学者たちは、周期的な低炭水化物ダイエットにより、総睡眠時間に占める徐波睡眠(周波数が低い睡眠)の割合が増加するとし、これが脂肪代謝に関連している可能性があると示唆しています。
『アルツハイマーの終焉:認知機能低下の予防と回復のための最初の計画』(The End of Alzheimer’s: The First Program to Prevent and Reverse Cognitive Decline)著者のカリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部のデール・ブレデセン氏は、ケトジェニック・ダイエットを含むアルツハイマー病の治療計画書を作成しました。環状ケトジェニック食は、深い眠りを促しリンパ液のクリアランスを高め、プログラムされた細胞死を促進することにより、神経保護に効果を発揮します。
深い眠りを妨げる原因
多くの人にとって、深い眠りにつくのは簡単なことではありません。栄養学とフィットネスのベストセラー作家であるベン・グリーンフィールド氏によると、深い眠りの条件は、体温を下げることだそうです。しかし、人は通常、以下のことで体温の低下を妨げているため、深い眠りにつくことは難しいのです。
●夜食
●睡眠前の飲酒
●必要以上に毛布を掛ける
●寝室が暑い
●就寝前3時間以内の激しい運動
しかし、家庭内の電磁波を低減・除去するだけでも、効果があるとグリーンフィールド氏はいっています。特に睡眠時は脳がデトックスされる時間帯なので、電磁波を除去することが重要だそうです。グリーンフィールド氏は、寝室にある電子機器をプラグから抜くのを勧めています。
認知症のリスクを高めるトランス脂肪酸に注意
また、アルツハイマー病などの認知症の発症率には、トランス脂肪酸の摂取量が強く関連していることが、2019年10月に雑誌「神経内科」(Neurology)に発表されました。60歳以上の日本人高齢者1628人を対象にした研究で、研究開始時は、参加者の中に認知症の人はいませんでした。
研究者たちは、これらの高齢者を10年間追跡調査し、血中濃度を測定しました。研究者たちは、トランス型脂肪酸の濃度が高いほど、全死因性認知症およびアルツハイマー病のリスクが高いことを発見しました。
トランス脂肪酸を最も多く含む食品は「糕点」という中国風菓子です。次いでマーガリン、飴、キャラメル、クロワッサン、非乳製品クリーム、アイスクリーム、餅と続きます。
コーネル医科大学のアルツハイマー病予防クリニックのディレクターであるリチャード・アイザックソン氏は、「トランス脂肪酸の食事摂取がアルツハイマー型認知症のリスクを高めるというこれまでの証拠に基づいているため、この研究は重要である」と述べました。
トランス脂肪酸の摂取と認知症の関連性を明確に示した研究は、今回が初めてではありません。 例えば、2012年、オレゴン健康科学大学神経学助教授のジーン・ボウマン(Gene Bowman)氏は、血清中のトランス脂肪レベルが高い被験者は認知テストで著しく成績が悪く、脳の容積が減少しているという、トランス脂肪酸と認知能力の強い相関を強調しました。
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