イエレン米財務長官はウクライナの首都キーウを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領らと会談した。2月9日、ワシントンで撮影(2023年 ロイター/Leah Millis/File Photo)

米財務長官がキーウ電撃訪問、支援継続を再表明

[キーウ 27日 ロイター] – イエレン米財務長官は27日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を電撃訪問し、ゼレンスキー大統領らと会談した。ロシアによる全面侵攻が2年目に入る中、ウクライナに対する米国の支援を改めて確認した。

イエレン氏は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれたインド南部ベンガルールからの帰途、ウクライナを訪問。20日にはバイデン米大統領がキーウを電撃訪問し、必要な限り支援を継続すると表明している。

イエレン氏はゼレンスキー大統領のほか、ウクライナ政府高官と会談。土嚢が積まれた政府の建物で「米国は必要な限りウクライナと共にあり続ける」と改めて表明。総額99億ドルの対ウクライナ経済・財政支援のうち、第1弾となる12億5000万ドルの提供を発表した。

ゼレンスキー大統領は、対話アプリ「テレグラム」への投稿で「米国は戦争初期から、軍事面だけでなく財政面でも(ウクライナに対する)力強い支援を行ってきた」とし、「ロシアから戦争資金を調達する能力を奪うために、制裁措置を一段と強化しなくてはならない」と述べた。

ウクライナのシュミハリ首相は、ロシアの経済と軍隊の弱体化を目的とした一段の制裁措置のほか、凍結されたロシア資産をウクライナの復興に充当させる案などについて協議したと明らかにした。

ただ、イエレン氏は記者団に対する電話ブリーフィングで、制裁措置の下で凍結された3000億ドルのロシア中央銀行の資産を完全に接収するには「かなり大きな」法的なハードルが残されていると語った。

また、ウクライナがロシアの原子力エネルギー部門を標的とした制裁措置の導入を呼びかけていることについて検証するとしながらも、こうした措置が西側同盟国に及ぼす潜在的な影響に「留意」する必要があると指摘。「ロシアの収入源を奪うことを望んでいるが、制裁措置がわれわれ自身やパートナー国に及ぼす潜在的な影響にも留意しなければならない」と語った。

また、米国は中国に対し、ロシアに物的支援を提供したり、制裁回避を支援したりした場合は「厳しい結果」に直面すると警告していると改めて表明。ロシアに対する支援提供は「容認できない」と述べた。

米財務省によると、午後遅くに行われたゼレンスキー大統領との会談で、イエレン長官は「ロシアの違法、かつ無謀な戦争」に立ち向かうゼレンスキー氏の「リーダーシップと決意」に敬意を表明。財務省は、ゼレンスキー氏が汚職対策を進めていることを歓迎するとした。

イエレン氏がキーウに到着する直前に空襲警報が鳴り響いたが、イエレン氏は滞在中に戦闘で死亡したウクライナ人兵士の記念碑に献花したほか、市内の広場に置かれている破壊されたロシアの戦車などを視察。「ロシアのプーチン大統領の残忍な戦争による壊滅的な犠牲者を直接目撃している」と述べた。

関連記事
ウクライナ保安庁(SBU)は7日、ゼレンスキー大統領と複数の高官を対象としたロシアの暗殺計画に関与したとして、国家反逆などの容疑でウクライナ国家警備局の大佐2人を拘束したと発表した。
5月6日、米国ホワイトハウスは、ロシアによる法輪功学習者の逮捕に対して、再び声を上げ、中共とロシアの関係の強化に懸念を表明した。 中国での法輪功学習者に対する迫害は、生きたままの臓器収奪を含めてすでに有名だが、先週、ロシア警察が突然4名の法輪功学習者を逮捕し、その中の46歳のナタリア・ミネンコワさんが2ヶ月間の拘留を受けたことが判明した。
5月2日に開催された、米連邦議会上院軍事委員会の公聴会では、「世界の脅威」について議論され、ヘインズ総監は中共とロシアの秘密協力が政治、経済、軍事、技術の各分野に及び、特に台湾問題にも大きな影響を与えていると述べ。
ロシア当局は中国共産党と歩みを揃え、自国内で信仰への弾圧を強めている。モスクワ市トゥシンスキー地区裁判所は4日、法輪功学習者であるナタリヤ・ミネンコワ氏(46)について、2カ月間の拘留を命じた。
5月3日早朝、ロシア警察による法輪功学習者の家宅捜索が5件あった。「望ましくない組織」のために活動した疑惑で、4名が拘束された。ロシアの主要メディアが報じたが、法輪功に関して、中国共産党による誤った情報をそのまま流している。