衆議院本会議場、参考写真 (Photo by STR/JIJI Press/AFP via Getty Images)

海外での臓器移植、実態調査が必要=加藤厚労相 中国の問題触れず

違法な海外での臓器移植あっせん事件をめぐり、加藤勝信厚生労働相は27日、衆院予算委員会で「海外での臓器移植等の実態を把握する必要がある」と述べた。池下卓議員(日本維新の会)の質問に答えた。

加藤氏は「個人情報の取り扱いに留意しつつ関係学会と連携して、医療機関を通じた渡航移植に関する実態調査を行いたい」とした。

2月、無許可で渡航移植をあっせんしていた内閣府認定NPO理事が逮捕された。岸田文雄首相は事件について、「公正で適正であるべき臓器の斡旋を無許可で行ったという。事実だとすれば重大な問題であると認識しているし大変遺憾だ」との見解を表明した。

渡航移植あっせんの違法性について、移植手術の現場が海外だと金銭授受、証言、証拠が非常に掴みにくいと池下氏は指摘。齋藤健法務相は、一般論としつつ「捜査当局は司法に基づき必要に応じて国際捜査共助の枠組みで対処するものと承知している」と答えた。

日本も署名する臓器移植に関する国際宣言「イスタンブール宣言」には、原則的に渡航移植を禁じ臓器移植は国内実施とある。岸田氏は、臓器移植法の改正ならば「課題を分析した上で実効性ある対策を検討する」と述べた。

中国の問題触れず

英国やカナダでは中国臓器収奪問題を念頭に渡航移植規制が設けられたが、今回の質疑応答はあっせん団体を通じた渡航移植に限定され、人道に対する罪が懸念される中国の同問題について触れることはなかった。

逮捕されたNPO法人理事は中国への渡航移植を多く手配していたとみられる。事業報告書によれば過去4年間の海外渡航先の96%は中国で、2016年は12回、2017年は8回、2018年は7回、2019年は6回訪問している。

いっぽう、この数か月で人権問題を課題とする2議連で、中国臓器収奪がテーマのひとつとして挙がっている。

先月、東京都内で開催された国際人権外交フォーラムでは、主催側の「人権外交を超党派で考える議員連盟」共同会長の舟山康江議員(国民民主)が中国臓器収奪について触れ「犠牲者は多く、議連で議論していく」と述べた。

昨年末に結成した「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟(中国人権侵害究明議連)」でも、石橋林太郎議員(自民)が良心の囚人から臓器を奪取するといった「蛮行を止めるために動いていかなければならない」と語り、渡航移植を制限する法令制定等の必要性を訴えた。

日本移植学会など5学会は昨年12月、海外での不透明な臓器移植の根絶を目指す共同声明を発表。新たに医学関連の4学会がイスタンブール宣言を承認した。

日本は違法性を払拭できない国への渡航移植を制限する施策が必要だと、中国臓器収奪の調査第一人者であるカナダの人権弁護士デービッド・マタス氏はエポックタイムズ日本の取材に語った。

マタス氏は日本への助言として、海外渡航移植が発覚した場合、医療機関が厚労省へ報告することを義務付けることや、中国での移植手術は臓器提供者が殺害される可能性があると警告することなどが必要だと述べた。

関連記事
カナダのドキュメンタリー映画「国家の臓器」のパレードが台北で開催。中国共産党による闇の臓器売買の実態を告発し、AI等を用いた世論操作(認知戦)が強まる中、台湾市民に真実を知るよう訴えかけている
米国下院で可決された「法輪功保護法案」を巡り、中国共産党による臓器収奪の惨状と、米上院の迅速な審議を訴える。沈黙が暴挙を助長する現状を打破し、人道に対する罪を止めるための不退転の決意を説く一編
最近、中国本土の各地で失踪者の増加が目立っているとの報告が相次いでいる。社会に不安や恐怖が広がり、臓器収奪との関連を疑う声も多く出ている
英語版大紀元の上級編集者で番組司会者のヤン・イェキエレク氏が近著『注文に合わせた殺人』を出版した。著書は、中共が組織的に臓器収奪を行ってきたとする疑惑の構造や背景を詳述し、米政界関係者の間でも議論を呼んでいる
新刊『オンデマンドの殺人』の内容を紹介。中国で10年間に3度の肝移植を受けた女性の事例を引き合いに、中共による組織的な強制臓器収奪の実態を暴露。わずか2週間でドナーが現れる異常な移植システムの闇に迫る