カリフォルニア州ロサンゼルスにある、米映画界の代名詞であるハリウッドのロゴ(GettyImages)

米ハリウッドから中国共産党を追い出せ 米下院議員、検閲防止の法案発表

米下院国土安全保障委員会委員長のマーク・グリーン議員は8日、ハリウッドが中国共産党の検閲に屈することを阻止する法案を提出した。

グリーン氏は声明で「中国共産党は米国における言論の自由を検閲しようとする試みをエスカレートさせている。米映画産業が中国共産党のプロパガンダの道具になることを許してはならない」と強調した。

法案は、米国の映画スタジオと中国企業が共同製作する映画を連邦政府が支援することを禁止するほか、政府の援助を受けている米国の映画製作者に、中国共産党の要求に基づいて編集された過去の映画を報告するよう義務づける。

米国の映画スタジオは、高額な予算の映画を製作する際に政府の支援を受けている。「これらのスタジオが中国に屈服すれば、援助を受けられなくなることを意味する」とグリーン氏は述べた。

ハリウッドは、中国の巨大市場目当てに中国共産党の検閲を受け入れてきた。言論の自由を掲げるNPO団体「ペン・アメリカ(PEN America)」は2020年に発表した報告書のなかで、ハリウッドのプロデューサーらは、中国政府の意向を反映するため内容を差し替えるなどの自己検閲を行なっていると指摘している。

例えばディズニーは2021年、米アニメ『ザ・シンプソンズ』で1989年の天安門事件に触れるエピソードを削除した。また、2013年の映画『ワールド・ウォー Z』では、ゾンビウイルスの発生源が中国あることを示す場面が変更された。

いっぽうで、中国共産党の検閲に立ち向かった例もある。昨年公開された映画『トップガン マーヴェリック』の予告編では主人公が着用するジャケットから消されていた日本と台湾の国旗が最新版では復活した。

ディズニー傘下のマーベル・スタジオ制作の映画『ドクター・ストレンジ』も、中国共産党が検閲している「大紀元時報」の新聞ボックスが映ったことで中国で公開中止となったが、ディズニー最高経営責任者(CEO)のボブ・チャペック氏は「中国市場なしでも問題ない」と怯まない姿勢を見せた。

両映画は、いずれも高い興行収入を記録するなど成功を収めている。

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