中国知網が海外利用者からのアクセスを遮断した。 写真は知網のウェブサイトのスクリーンショット。(李馨/大紀元)

「情報入手が一段と困難」…中国学術論文データ大手、海外利用者からのアクセスを遮断

中国学術文献オンラインサービス大手「中国知網CNKI)」は、米国や台湾、香港などの大学および研究機関に対し今月1日からアクセスを遮断すると通知した。

知網は、1999年に設立された学術論文を提供するサービスを手掛ける。中国国内にある約95%の学術雑誌が閲覧可能。およそ56か国で3万3000か所以上の大学や研究機関に関係する2億人以上が利用し、年間の論文ダウンロード数は23億本に達するとされる。中国本土の研究機関などに直接アクセスできない海外の学者や学生にとって重要なサービスだ。

日経アジアによると、香港城市大学やカリフォルニア大学サンディエゴ校、台湾中央研究院中国文学哲学研究所など少なくとも十数の研究機関が1日から知網ウェブサイトへのアクセスを遮断するという通知を受け取った。日本でも、知網の閲覧カードを発行していた東方書店が「新規発行の停止」の通知を受けたと3月13日に公表している。

通知は清華大学を拠点とする知網の運営会社「同方知網北京技術」が出した。昨年9月1日施行の「データ越境移転安全評弁法」および関連法規に基づく措置だとしている。ただし、同社は詳細については明らかにしていない。

米調査会社ロジウム・グループのシニアアナリスト、マーク・ウィッツケ氏は、米政府系メディア、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のインタビューで「中国に関して信頼ある情報の入手が一段と困難になる」「信頼ある情報やリサーチがなければ、同国で何が起こっているのか、明確に理解することは難しい」と述べ、アクセス制限への懸念を示した。

知網が海外からのアクセスを制限した理由は明らかになっていない。しかし、昨年6月に、インターネット規制当局である中国サイバースペース管理局(CAC)が国家安全法などに違反した疑いで同方知網北京技術の調査を始めたと発表していた。

調査に関する通知によれば、知網が「大量の個人情報や国防、工業、電気通信、交通運輸、自然資源、保健、金融などの重要業界分野に関連する重要データ、および重大プロジェクト、重要科学技術成果、および重要技術動向などの機密情報を保有している」ことを理由に挙げた。

英ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)中国研究所のスティーブ・ツァン所長は、知網へのアクセス制限の理由について「おそらく、海外利用者が中国当局を批判する際に引用するための資料などにアクセスできないようにするためだろう」と予測した。

知網へのアクセス制限が解除されても、提供するコンテンツに中国当局の影響を大きく受けている可能性が高いとの懸念がある。

カリフォルニア大学リバーサイド校の中国問題専門家のペリー・リンク教授は、「中国共産党の報道官は、米国が『冷戦思考』を持っていると繰り返し非難している。今日の情報化時代において、政府報告書や学術論文が越境し閲覧されることを阻止することこそ、明確な冷戦思考である」と反論した。

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