写真は2022年1月5日、台湾南部・嘉義見の空軍基地上空を飛行する米国製戦闘機F-16V (Sam Yeh/AFP via Getty Images)

中共スパイ、観光客装い米軍基地を盗撮 ドローン用いるケースも

米国当局は、観光客を装って基地を盗撮する中国人スパイに神経を尖らせている。北極圏の軍事的価値が高まるなか、アラスカではドローンを所持した車両が基地への接近を試みるケースも確認された。

米メディアUSAトゥデイによると、アラスカではオーロラを観たい観光客が基地に接近する事案がしばしば発生する。いっぽう、現場の兵士は、道に迷ったと主張する観光客のなかには、米軍の実力を確認するためのスパイも紛れ込んでいると考えている。ある事件では、中国人が運転する車両が保安検査場を突破、兵士が車両を止め検査したところ、車内からドローンが見つかった。

アラスカ州には複数の空軍基地があり、空軍の主力戦闘機F-22とF-35を運用している。弾道ミサイル防衛の要となるレーダーサイトのほか、極地戦闘を専門とする陸軍第11空挺師団が駐屯する。

アラスカ州選出のダン・サリバン上院議員(共和党)は、このスパイ事件疑惑について「中国のスパイ気球、ロシアの爆撃機飛来に次ぐアラスカでの最新事例となるこの報告は、権威主義の侵略の時代にあることを我々に再び警告している」とVOAの取材に述べた。

1月、米国では中国のスパイ気球がアラスカの領空を横断するよう飛行しているのが発見された。中国は民間用観測気球だと主張し、スパイ気球との指摘を否定している。

中国人留学生が米軍基地を盗撮したとして懲役刑を言い渡された事例もある。AP通信によると、2019年、留学生のZhao Qianli氏はフロリダ州キーウェスト海軍航空基地で違法に写真撮影を行なっていた。Zhao氏は観光をしていたと主張したが、基地周辺に観光スポットはなく、押収されたカメラには航空基地の写真しかなかった。

米司法当局はすでに中国共産党スパイの摘発を開始している。米連邦捜査局(FBI)は4月17日、中国の公安当局と連携しニューヨークで秘密警察署を運営していた男性2人を逮捕した。男らは民主活動家らの監視を行なっていたとされる。

FBIのクリストファー・レイ長官は4月の講演で「米国の経済安全保障と国家安全保障に対する長期的で最大の脅威は、中国共産党政権によってもたらされていることに疑いの余地がない」と糾弾。平均12時間ごとに中共スパイに対する新たな捜査活動を立ち上げているという。

スパイ防止法がない日本では、政府が重要土地法を制定し、安全保障において重要な施設付近での土地買収に歯止めをかけることで対応している。

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