研究サンプル。参考写真 (Photo by Dan Kitwood/Getty Images)

冷凍庫の電源切られ20年間の研究が台無しに…米大学、清掃会社を提訴

鳴り続けるアラームに不安を覚えた清掃員が研究室の冷凍庫のブレーカーを落とし、「画期的な可能性を秘めた」長年の研究を台無しにしたとして米ニューヨーク州のレンセラー工科大学は16日、清掃会社に100万ドル(約1億4千万円)の損害賠償を求める訴訟を起こした。

事件は2020年9月に遡る。訴状によると「プラグを抜くな」と注意喚起する張り紙をしていたにもかかわらず、清掃員は「迷惑なアラーム」を消すため、ブレーカーをオフにし、約100万ドルに相当する20年以上の研究を台無しにしたとしている。

大学側は過失が清掃員にあるわけではなく、適切な訓練や指導を怠った清掃会社側にあるとした。清掃員は特別な支援を必要とする人だった。

研究室の冷凍庫には細胞培養やサンプルが保管されており、零下80度に保つ必要があった。わずかな温度変動が壊滅的なダメージを引き起こす可能性があるため、2度以上の温度変化があった場合にはアラームが作動する設定になっていた。

清掃員がコンセントを抜く数日前にもアラームがなったため、研究室は細胞培養とサンプルに問題がないことを確認し、製造元に修理を依頼している最中だったという。

アラームが鳴り続けていたため、プラグが抜かれることを防ぐ対策として、研究室はコンセントとソケットに安全ロックボックスを設置し、警告する張り紙をしていた。

清掃員は大学側の聞き取りに対して、夕方から夜にかけて「迷惑なアラーム」が鳴っていたため、ブレーカーをオフにしたことを認めている。一方で訴状は「彼はまだ自分が何か悪いことをしたとは思っていないようだった」とした。

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