米国務省はチベットの子供達に対する「強制的な同化政策」に関与しているとして、複数の中国当局者へのビザ発給を制限すると発表した (Kevin Frayer/Getty Images)

チベットの子供に「強制的な同化政策」米、中国当局者にビザ制限

米国務省は22日、チベットの子供達に対する「強制的な同化政策」に関与しているとして、複数の中国当局者へのビザ(査証)発給を制限すると発表した。

ブリンケン国務長官は声明で「チベットの子供たちを中国政府運営の寄宿学校に強制的に入学させることや、チベットや中国全土における抑圧的な同化政策をやめるよう中国当局に求める」と述べた。

ブリンケン氏は、中国当局が100万人以上のチベットの子供たちからチベット独自の言語や文化を抹殺しようとしていると非難した。一方、当局者の名前や詳細については言及を避けた。

チベットは、1951年に中国軍が「平和的解放」と主張して支配権を掌握して以来、中国共産党の統治下にある。チベット仏教や民族文化を根絶させるため、中国共産党はカンゼ・チベット族自治州にある巨大仏像を破壊するなど、漢民族への同化政策を加速させている。

同様の政策は内モンゴル自治区でも実施されており、当局は2020年に小中学校のモンゴル語での授業を削減して中国の標準語での教育を強化すると発表した。

「チベット人を中国人に変える」

国連(UN)の特別報告者も2月に発表した報告書の中で、中国共産党がチベットの子供達を家族から引き離し寄宿学校で「強制的に同化」していると指摘。学校での教育内容は、漢族の文化が中心となっているため、家族とコミュニケーションを取れなくなったチベット人の子供たちは、徐々にアイデンティティーを失っていると懸念を示した。

国務省の発表を受け、NGO「チベットのための国際委員会」は声明で「チベット人の生活様式を排除し、チベット人を中国共産党の忠実な信者にしようとする中国の計画の深さを示している」と同化政策を批判した。

国務省は2022年にもチベット人や中国伝統気功・法輪功学習者への人権弾圧に関わったとして、中国高官など4人に制裁を科している。

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