禅宗五山のひとつ霊隠寺に集まる参拝客。寺を訪れた際、先に30元(約600円)を払って飛来峰に入り、その後で40元(約800円)を払って霊隠寺に入れる仕組みとなっている。地方政府はここに目をつけた(Photo by JOHANNES EISELE/AFP via Getty Images)

財政赤字が日増しに深刻化 賃金支払うため寺院にたかる地方政府

中共の地方政府の財政赤字が日増しに深刻化している。天津市河北区政府は公務員の給与を払うため、地元寺院から何億元も借りた。

天津市住民はラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところ、同市河北区など少なくとも4つの政府部門の財政が厳しい状況にある。

多くの部門で公務員の給与が数か月間支払われておらず、インターネット上の情報によると、天津市では一部の政府当局者の中には、地元の大悲院に資金の融通を求めた者もいた。大悲院も資金難を訴え、その要求を拒否したとのこと。

元中国メディア関係者・趙蘭健氏が5日にX(旧ツイッター)に投稿した写真には、このように書かれていた。

「天津市河北区政府は3月、4月に賃金を支払うお金がなく、大悲院から数億元を借りたが、7月にまたお金がなくなった。そして再び大悲院からお金を借りようとした。今回、大悲院は自分たちは施し屋ではない。仏門に寄付を求めに来る人など今までいないと断った」

大悲院は天津市河北区にある仏教寺院。1658年に建てられて以来、何度も再建、増築されてきた。

中国共産党の改革開放以降、中国各地で多少知られている寺院や道観はすでに商業化されている。寺院は観光地とされ、観光客からお金を稼ぐようになっている。ネットユーザーによれば、中国仏教の聖地、九華山でおみくじを引く際、まだ引いていないのに隣にいる僧がお金を要求してきたという。

また、禅宗五山の1つ、杭州の霊隠寺を訪れた際、先に30元(約600円)を払って飛来峰に入り、その後40元(約800円)を払って霊隠寺に入れる仕組みとなっている。また、各殿堂に入ると、カウンターの後ろに僧が座っており、観光客からの施しを受け取っている。

現在、中国では景気の低迷により「史上空前の就職難」が大きな社会問題になっている。中国のSNS上では「学校に行かず、仕事もせず、ただ神頼みをする」というハッシュタグが流行っている。

中国大手のオンライン旅行プラットフォーム「去哪儿旅行(チューナー)」と「携程(シートリップ)」が公表したデータによると、中国の寺院を訪れる今年の参拝客は前年より4倍以上に急増している。そのうち、90年代生まれと2千年代生まれが全体の50%を占めている。

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