目に見えない電磁界(電磁波)の危険性

5Gスモールセル(小型基地局)の急増:マイクロ波症候群への懸念とその予防法(下)

地方条例の更新

アンドリュー・モルナーさん夫婦は地元の自治体に無線設備に関する条例を更新するよう要請した。

「私はよく人々に言うが、本気で町の状況を変えたいと思っているなら、その問題について最もよく分かっている人にならなければならない」とアンドリューさんは語った。 その問題について十分な知識を備えていれば、「乱暴な陰謀論者」と見なされることもない。

2020年の春、モルナーさん夫婦は市議会議員に連絡を取り、個別に面会し始めた。

嘆願書に署名した500人のうちの一部で、モルナーさん夫婦と他の4人の積極的なメンバーが共同で率いるタスクフォース「責任ある技術のためのイサカ市民」を結成した。メーリングリストには数百人が参加し、地元当局に懸念を表明する証言を送った。

「数には力がある。市議会議員200人に対して2人で連絡を取ることを考えると、数百人の証言は力が違う」とアンドリューさんは語った。

最初はどの議員もモルナーさん夫婦を信じなかった。夫婦は地元メディアの支持を得ようとしたが、徒労に終わった。 また、コーネル大学の教授がモルナーさん夫婦の取り組みに反対するメールを政府に送ったことで、夫婦の信頼はさらに傷つけられた。

モルナーさん夫婦は教授にメールで返答し、彼の主張に反論したが、2人は壁にぶつかったかのようだった。

開始から4か月が経過した時点で、2人はほぼ諦めかけていたがその翌日、アンドリューさんは市議会議員と初めて対話することができた。

市議会議員が彼に電話をかけてきてから、「状況は完全に好転した」という。 そこから4〜5か月以内に、「ドミノ倒し」のごとく事態が進展した。

地方から権限を奪うことを目的とした今後の法案

イサカには市と町の2つの自治体がある。2021年にイサカ市は都市計画条例を更新し、イサカ町は2023年に更新した。

モルナーさん夫婦は市議会議員やそのスタッフと長年かけて親しくなったおかげで、新たな無線設備について把握がずっと簡単になったという。それでもなお、2人は新しい申請書に目を通すために委員会の議題を確認している。

「私は、試みたものの成果を上げられなかった町をたくさん知っている。つまり、すべての努力が実っているわけではない」とアンドリューさんは話す。

「しかし、私たちのような国民が粘り強く取り組みを続け、最終的には少なくともいくつかの良いことを成し遂げたという例がたくさんあることも私は知っている」

しかし今、モルナーさん夫婦が過去3年間に築き上げてきた「骨の折れる進展」は、新たな法案によって帳消しにされる可能性が出てきている。

現在、約50の法案が議会および上院に次々と提出されている。その中でも、H.R.3557(2023年米国ブロードバンド普及法) は最も悪名高い法案だ。

オデット・ウィルキンス弁護士は、この法案は携帯電話基地局の設置について地域の管理権限を奪うものだとメールでエポックタイムズに語った。ウィルキンス氏は、ニューヨークで5Gスモールセルに反対する活動を主導している。

この法案は、無線設備の新設に際して、通信事業者に通信サービスが利用できないエリアがあることを証明させ、そのエリアをカバーするのに必要最低限の方法をとることを義務付ける判例法を無効にする。

カンパネリ氏によれば、TCA(電気通信事業者協会)の規定が適用されたとき、議会は無線通信業界と地方政府による住民保護の「利益のバランス」を確立したというが、このバランスは新法案によって「完全に破壊される」ことになる。

「この法案が通過すれば、無線設備が民家の芝生の上に出現し始めるだろう。それも至るところに、住民の意志に反して、住民に何の対価も払わずに、だ」

ニューヨークを拠点とするエポックタイムズ記者。主に新型コロナウイルス感染症や医療・健康に関する記事を担当している。メルボルン大学で生物医学の学士号を取得。