新たな研究によって、新型コロナワクチンの接種後に問題が現れた人のあいだで最も一般的な慢性症状が明らかになりました。
最も一般的な症状は、運動不耐(疲れやすいこと)、過度の疲労、しびれ、ブレインフォグ(記憶力や認知能力の低下)、そして神経障害だったと研究者らは論文で報告しています。
米国国立衛生研究所(NIH)が一部資金提供したこの研究において、少なくとも被験者の半数が、上記の症状に加えて、不眠症、動悸、筋肉痛、耳鳴り、頭痛、灼熱感、めまいも経験しました。
被験者が報告した症状の数は一人につき中央値で22、最高は35でした。
この研究は「新型コロナワクチン接種後に重度の衰弱性慢性疾患を報告した」人々に焦点を当てたもので、被験者は「ワクチン接種後すぐに症状が始まり、多くの人は1年以上症状が持続した」と研究者らは述べました。
この研究の筆頭研究者は、イェール大学医学部内科のハーラン・クルムホルツ博士とイェール大学公衆衛生大学院生物統計学部のイールン・ウー氏です。
論文は、査読に先立ち11月10日にプレプリントとして出版されました。
研究手法
この論文は、いわゆる「コロナ後遺症」とワクチン接種後の有害事象の双方を調査するイェール大学の「Listen to Immune, Symptom and Treatment Experiences Now」 (LISTEN;免疫・症状・治療経験の調査研究)の結果を元に執筆されました。
研究者は2022年5月に参加者の募集を開始しました。参加者はアンケートに記入し、研究者が参加者の健康記録を閲覧できるようになりました。
この研究は、2022年5月から2023年7月までにワクチン接種後の問題を報告した成人を対象としたものです。いわゆるコロナ後遺症、つまり新型コロナウイルス感染症の感染後に症状が持続する現象を報告した388人は対象から除外されました。 アンケートに一部回答しなかった146人も最終的に除外されました。
被験者の年齢の中央値は46歳で、80%が女性でした。また、被験者の約88%が米国に住んでいます。
研究者らが言うには、この研究は設計上、因果関係を確認できるものではありません。研究者らは、慢性症状がワクチンによって引き起こされた可能性を認める一方で、症状はワクチンと無関係に体調の変化によって生じた可能性もあると主張しました。しかしまた、ワクチン接種の直後に症状が集中したことは「潜在的な関連性を示唆している」とも述べました。
ワクチンの既知の副作用には、心臓炎症、重度のアレルギー性ショック、ギラン・バレー症候群などがあります。
その他の症状についてもワクチンに関連したものだと指摘する人がいますが、既知の副作用ほど広くは認識されていません。
これらの既知の症状はかなりの痛みを伴う場合があります。被験者に、最もひどい日に症状がどの程度ひどかったかを尋ねたところ、最高を100点として回答の中央値は80点でした。
長引く症状
研究を終える前の週に聞いたところ、被験者の93%が少なくとも1回は不安を感じたと回答しました。
10人中8人以上が恐怖を感じていると報告し、81%は心配事で気持ちが圧倒されていると感じると報告しました。
無力感、憂鬱、絶望感、虚無感もよく報告されました。
グループのほぼ全員が倦怠感を感じており、91%が睡眠障害に苦しんでいると回答しました。
一方、被験者の半数は、良好、非常に良好、または快調と報告しました。それでも、残りは普通、悪い、またはわからないと報告しました。
多くの人にワクチン接種後すぐに症状が現れ始めました。 症状が発現するまでの期間の中央値は3日でした。77%の人が1回目か2回目の接種後に症状が現れました。
この研究は、新型コロナワクチン接種後に持続的な症状を経験した23人の患者について詳述した、NIH執筆の先行論文に続くものです。
今回の新しい研究の被験者の多くは、ワクチン接種後に不安、神経学的症状、胃腸の問題、体位性頻脈症候群など新たな診断を受けました。
パンデミック以前の問題
研究によると、被験者の半数近くはパンデミックの前からアレルギーを持っていました。
被験者全体の約4分の3が、アレルギーなど少なくとも1つの併存疾患を抱えていました。
アレルギーの背後にある最も一般的な併存疾患は、胃酸逆流などの胃腸の問題、不安障害、うつ病、そして喘息でした。自己免疫疾患である関節炎、高コレステロール、高血圧症、偏頭痛もそれぞれ20人以上から報告されました。
試した治療法
多くの参加者が自身の症状に対して複数の治療法を試しました。
なかでも、ほぼ全員が試した治療法は、体内の善玉菌を増やすのに役立つプロバイオティクスです。
ほかに、ビタミンやサプリメントも頻繁に利用され、ビタミンB12、C、Dとイブプロフェンが最も人気がありました。
被験者の大多数がイブプロフェンなどの抗炎症薬を使用し、約半数がデキサメタゾンなどの経口ステロイドを使用しました。
生活スタイルを変えてみる治療法もよく見られました。被験者の51%が運動や大変な仕事を制限し、44%がアルコールやカフェインを減らし、44%が塩分の摂取量を調節しました。さらに10人中4人ほどが食事を変えました。
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