中国への渡航移植を行った患者に対応した、肝臓移植医マンソール博士(スクリーンショット)

中国に行ったら即手術…まるで移植用の臓器が“予約”されているかのよう=米医師

中国共産党が法輪功学習者ら「無実の囚人」から臓器を摘出し、移植手術に用いているといった組織犯罪が明るみになって、はや17年経つ。しかし、今なお中国への渡航移植を行うルートは塞がれていない。米国では地方議会レベルでこの抜け穴を防ぐ法律を整備している。

米テキサス州では今年、米国の州議会で初めて臓器狩り対処法案を可決した。この背景には、中国への渡航移植の奇妙さに気づいた同州ヒューストンの移植医の訴えが始まりだった。

「なぜ中国では短期間で移植が受けられるのか。まるで臓器が予約できるかのようだ」ーー。医師の疑問が州法成立へと繋がった。

テキサス州で9月に成立した法律は、中国を念頭に「臓器が不正な供給源からもたらされたというリスクが極めて高い」国に由来する臓器移植に対して医療給付プランの支払いを禁じるものだ。

法成立にあたって、議会では移植医の証言台に立った。同州ヒューストンの肝臓移植医であるハワード・マンスール博士だ。

最近オンラインで開かれた移植倫理に関する円卓会議のなかで、同氏は自身の患者が中国渡航移植をしていたと、その経験を語った。

マンスール氏は10年以上前、州内の病院で肝臓病学主任として勤務していたころ、肝臓がんを患う大学教授から移植手術の相談を受けた。しかし、がんは相当進行しており、移植をしても生存率が低いとされ、米国では移植を受けられなかった。

この教授はある日、中国での移植が可能との情報を得て、マンスール氏に渡航について相談をしたという。「中国出身の研修生が紹介した」というのだ。

「奇妙なことに、教授は移植を予約できていたかのようだった。米国なら半年から一年は待機する。しかし、中国に行けば、ほぼ即座に移植を受けることができた」

この教授は中国へ渡り移植を受け帰国したが、1カ月後に亡くなった。マンスール氏はこの経験から、奇異な中国の移植医療に疑問を抱き始めた。のちに英国で臓器狩り問題を知った。

マンスール氏は、亡くなった教授は臓器がどこから来るのか全く知らないようだったと指摘。教授もまた無知による犠牲者だとして、その後、問題啓発を支援し、中国での移植手術で「犠牲者」が生まれることを阻止する運動に参加している。

「テキサスの住民が違法な臓器を受け取ることのないよう議会で証言し、法案が通過するよう後押しをした」とその思いを円卓会議で明らかにした。

では、この犠牲者とは一体誰だったのか。米国在住の中国人技師が、自身が囚われた時の経験を会議で明かす。

(つづく)

関連記事
この請願は、一筆ずつの署名を通じて人権侵害に終止符を打つことを目的としている
最近各国で関心が高まっている中共による臓器収奪問題。香港大紀元の記者が臓器収奪を主導した一人とされる黄潔夫・元中国衛生部副部長に直撃取材した経験がある。記者が「あなたが(臓器収奪に加担した)責任追及リストに載せられているが、この件についてどう答えますか?」と質問すると、黄は不敵な笑みを浮かべたまま急いで立ち去っていった。
中共による生体臓器収奪問題を扱ったドキュメンタリー映画『国家の臓器』の上映会が10日夜、参議院議員会館で開催された。出席した国会議員や有識者からは「実態は想像をはるかに超えている」「強い衝撃を受けた」といった声が相次いだ。
中国での臓器収奪を追ったドキュメンタリー映画「国家の臓器」の上映会が12月10日、参議院会館講堂で開催された。 […]
中国での臓器収奪とそれを利用した渡航移植の非人道的実態について、日本保守党の北村晴男議員が参院法務委員会で追及。渡航移植への罰則と入管法による上陸拒否の追加を強く提言した