2024年1月31日にすい臓がんで死去した河南省のインフルエンサー、高波(32歳)さん。(SNSより)

「すい臓がん」が敏感ワードに? なぜ今、検閲されるのか=中国

すい臓がん(中国語:胰腺癌)のため1月31日に死亡した河南省の農民インフルエンサーの話題が突如、中国SNSウェイボー(微博)のホットリサーチ入りした。

だが、同トピックスはまもなくして「敏感」な話題と見なされ、ウェイボーから封殺されたことがわかった。

「なぜ、この話題が当局の検閲に遭ったのか」。この問題をめぐって、いまネット上では物議を醸している。とりわけ近頃、国外SNSで持ち切りの噂である「中共党首が激やせ、すい臓がんか?」と関係があるのではないか、とする見方も出ている。

中国メディアによると、先月31日、河南省のインフルエンサーの王大娟さんは「今朝、夫の高波(32歳)がすい臓がんで死去した」と公表した。

王大娟さんと高波さんは中国の低層社会のインフルエンサー夫婦で、主に田舎の日常生活を記録した動画をSNSに投稿している。昨年8月頃から、高さんは体調不良になり、12月頃に末期のすい臓がんと診断された。

高さんがすい臓がんで死去したニュースが伝えられると、大量に転載され、熱い議論が巻き起こった。関連トピックスは、ついにウェイボー(微博)のホットリサーチ入りした。

一部の「事情が呑み込めていない」ネットユーザーは、この現象を不思議がる。「なぜこんな話題が、人気なのか」「知らない人だ。有名人でもないのに、死んだだけで、なぜホットリサーチ入りするのか」といった疑問の声が次々と上がった。

これら、ホットリサーチ入りした理由が分からないネットユーザーに対し、見かねた他のネットユーザーが、親切かつ慎重に回答している。「死んだ人が有名だからではない。その病名が、いま有名なのだ」と。

だが、翌日になると、関連トピックスは全て検閲に遭い、削除された。

一時中国SNSウェイボー(微博)のホットリサーチ入りしていた「インフルエンサー、王大娟の夫がすい臓がんで死去」のトピックスが封殺された。(ウェイボーより)

すい臓がん(膵癌)は、進行が速く、早期発見や治療が難しい悪性度の高いがんである。いったん患うと残された時間は短く、臓器移植などで延命することも難しい。

近頃、海外のSNSでは「中共党首が、すい臓がんと診断された」という噂で持ちきりだ。中国国内でもこの噂は暗号や各種検閲にひっかからない方法で拡散され、議論を引き起こしている。

この噂の明確な情報源はわからない。そのため、事実関係は不明であるが、中共党内における習近平の政敵が習を攻撃するため意図的に流した噂ではないか、という見方もある。

ところが、この噂が流れると、先週、急落中の中国の株式市場が急上昇し始めた。この意外な展開について「株価が持ち直したのは、当局による救済資金の効果によるものではない。習近平がすい臓がんを患ったニュースが、株式市場に希望をもたらしたからだ」と指摘する人もいる。

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