「衝撃と畏怖」を用いた積極的ながん治療を再考する

「何もしない」が命を救う? 予想外のがん治療法(下)

待機的観察でがんを乗り越えた患者の声

待機的観察の恩恵を受けた患者の1人、デヴィッド・ゲイさんの考えでは、積極的監視は自らの回復力をいかに引き出すかが重要です。定期的な血液検査とPET (陽電子放射断層撮影法) スキャンを行うことで、体系的なアプローチによってがん診断の心理的重圧と向き合えるようになっていきます。この方法を選択したことで、彼は行動を起こす前にセカンドオピニオンを求めることもできるようになりました。

がんを患っているにもかかわらず、彼は家族や友人からサポートを受けて安堵感を抱いているといいます。

「時間が経つにつれて、自分ががんを抱えているという意識は薄れていきます」と彼は言います。

もう1人、オーギー君の話もご紹介しましょう。8歳のオーギー君に脳腫瘍が見つかったとき、家族は困難な選択に直面しましたが、腫瘍の大きさを監視するための頻繁なMRI検査に対する保険の補償に支えられ、待機的観察を選択しました。

無症候性腫瘍の即時治療を避けるという家族の決定は、化学療法と手術の両方のリスクがあったためです。オーギー君の母親エミリー・フレージャー・ウィリアムズさんはエポックタイムズに対し、「化学療法にはひどい副作用があります。ですから、統計に基づく治療効果がないなかで、化学療法を選択する理由が理解できませんでした」と語りました。彼らはまた、手術によって脳に損傷を受け、生命が脅かされるリスクについても議論し、慎重なアプローチをとるに至りました。

「彼ががんを患っていると知って最初は非常に当惑し、どうすることもできませんでしたが、可能な限り非侵襲性の対処をすることに重点を置いたことが非常に助けになりました」とウィリアムズさんは語りました。

家族は医学的見地から、オーギー君の成長を待つことで、提案されている脳手術に関連する既知のリスクである外傷性脳損傷を回避できることを理解していました。医療専門家は、思春期の脳の可塑性は術後の回復に役立つため、その頃に手術を受ける方が有利になるとアドバイスしました。

オーギー君のがんに対して、何年も待機的観察を選択してきた一家は、彼が12歳のときに腫瘍の著しい増殖により手術が必要になるという転機に直面しました。

最終的には手術が必要になったにもかかわらず、家族は最初の決断を大切にしています。その決断のおかげでオーギー君は普通の子供時代を過ごし、成長する機会を得ることができ、健康管理の決定に対してより主体的に関わることができるようになりました。「オーギーは成長するにつれて理解が深まり、治療について主張し、自分で選択できるようになりました」と母親のウィリアムズさんは語りました。

彼女は自分たちの今までの過程を振り返り、選んだ道に感謝しました。 「このアプローチを採用して本当に良かったと思います。息子の健康への影響を最小限に抑えることができました」。 現在16歳のオーギー君は治癒したと考えられています。母親は、オーギー君の良好な結果によって、より多くの医師が他の家族のために「手放す」治療アプローチを検討するようになるだろうと希望を語りました。

がん治療における勝利の再定義

「何もしない」ことが持つ力、および治癒過程における役割が注目を集めています。この概念は、手っ取り早い解決と目先の結果を重視する社会では直観的に理解しにくいと見なされることが多いですが、断念とは違う「委ねる」というアイディアを、戦略的な選択として取り入れているのです。

特に医療介入が明確な利点をもたらさない場合に、症状の自然な経過に身を委ねることは、医療における患者の権利拡大に向けた移行を反映しています。より多くの患者が積極的ながん治療を延期し、より良い食事やストレスの軽減といったライフスタイルの選択をすることで、体が本来持つ自己調節能力と治癒力をより良くサポートしています。

ゲイさんの話はその一例です。待機的観察をはじめて数年が経った今も、生活の質が彼の治療哲学の中心となっています。即時の積極的な治療を控えることで、彼は日常生活と健康を維持しており、また、がん治療の副作用で損なわれていたかもしれない生活の質も維持しています。

がん治療の新時代

一部のがんは直ちに治療を必要とし、治療が遅れると転帰が悪化しますが、その他の多くのがんはすぐに治療する必要はありません。幸いなことに研究者らは、どのがんがどちらの種類にあたるかについて、より明確に示してくれています。これらの理解は患者に幅広い選択肢を与え、患者の選択を腫瘍専門医の専門知識と同じくらい重要な位置に押し上げました。

腫瘍学を専門とする統合医療医のネイサン・グッドイヤー博士のような専門家によれば、この変化は長い間待ち望まれていたものだといいます。 「がん治療の車輪の中心は患者であるべきだ」と彼はエポックタイムズに語りました。

医療チームの役割は、患者を導き、情報を提供し、患者の希望を尊重し、偏見なくすべての選択肢を提示することだとグッドイヤー博士は説明します。 真の意思決定者は患者自身であり、医療チームは患者のアドバイザーとしての、また擁護者としての役割を果たすものです。

スタンフォード大学の腫瘍学者で米国臨床腫瘍学会のリディア・シャピラ博士は、即時の治療行動と待機的観察の間で迷っている人たちにいくつかのアドバイスを与えています。自身の診断結果をよく理解することに専念し、腫瘍専門医とのチームでのアプローチを構築し、不安を軽減するための心理的サポートを求めてください。このアプローチにより患者は自分の信念に合わせて、より適切に治療を組み立てられるようになります。

10年にわたる執筆キャリアを持つベテラン看護師。ミドルべリー大学とジョンズ・ホプキンス大学を卒業。専門知識を取り入れたインパクトのある記事を執筆している。バーモント州在住。3人の子を持つ親でもある。