中小企業での4%賃上げが「価格転嫁」だけでは難しい本当の理由。今こそ中小企業での本気の「リスキリング」が必要。
本当に「価格転嫁」等だけで中小企業での4%賃上げが実現できるのでしょうか? 「中小企業での4%賃上げ」が難しい本当の理由とは?
最近の日経新聞(2024/2/9)の記事に「日商・連合、中小の価格転嫁で協力」と2024年の中小企業の賃上げが重要テーマであり、価格転嫁の促進する方針を確認したのと報道がありました。
今国会でも「中小企業な賃上げ」は議論され、この価格転嫁に加え賃上げ税制等を行うとの方針がありますが、
本当に「価格転嫁」等で4%賃上げが実現できるのでしょうか?
答えは「中小企業での4%賃上げは価格転嫁だけでは無理」です。
株式会社VUILD managementは、中小企業等経営強化法第26条に基づき、経済産業大臣から認定された「事業分野別経営力向上推進機関」(全国で14機関のみ)であり、中小企業に精通した支援機関として「中小企業の本気の賃上げ」実現の為に活動を展開しています。 なぜ、「価格転嫁」等だけで難しいかを説明するとともに、中小企業での「労働生産性を上げる為の本気のリスキリング」の必要性と具体的方法を紹介致します。
中小企業等強化法の中に「事業分野別指針」として、「組織の活性化」、「多能工化」、原価割れ受注をしない為の「実際原価の把握」及び工数を削減し最適化する為の「工程設計」の重要性等を含めた7つの指針があり、小規模事業者(~20名)でも、2つ以上を強化する事が推奨されています。
しかしながら、実態は・・・・この「事業分野別指針」の存在すら知らない中小中堅企業がほとんどです。
「価格転嫁」出来ないよりも「原価計算」すら確立していない実態が大きな課題です。 特に今回の価格転嫁に関する件についても、指針では「実際原価の把握」をある中で、受注する際に価格交渉する際に必要な「見積原価」
すなわちこの製品を製造するのに、人件費・材料費・外注費・・・はxxxであるとの「標準原価計算」すらできていない企業が多いのが事実です。見積書も各自がアナログ的感で作成し価格交渉している企業が多いのです。
「価格転嫁」は確かに昨年の材料費高騰等でクローズアップされましたが、
「原価計算」すら確立していない『数字・DXに弱い企業』が多い事が、
中小企業の長年賃上げが出来なかった主要因である事は認識すべきです。
労働生産性を意識した経営が出来ていないことも大きな課題
その為に、値切られた価格でも頭を下げて受注し、「大きな受注が入って忙しく、従業員が遅くまで残業して頑張ってくれてます。」と言う社長さんがいますが、労働生産性が低い事に、気づいてないようです。
労働生産性は従業員一人当たりの付加価値額だけでなく、1時間当たりの付加価値額も重要ですが、当然従業員の労働時間・工数が増えれば労働生産性は低くなることになります。労働生産性が高い会社は、徹底的に1時間当たりの付加価値額を徹底追及する経営と社員教育が出来ています。
労働生産性についても、「社長の会社の労働生産性はいくらですか?」との質問に対して、直ぐに数字が出てくる社長は残念ながら少ないの実態です。これまでの経験から、答えられるのは1割程度であり、中小企業の6割以上赤字企業、どうにか黒字の企業は、労働生産性の重要性を正しく理解していないようです。
労働生産性は会社の規模、業種業界により違いがあり、大企業は1200万円であるのに対し、中小企業は良くても600万円と大きな格差があります。又業種も飲食・アパレル等は低い業種となります。
年収はこの労働生産性に労働分配率(中小企業に場合は60%)を乗じた数字であり、平均年収360万円ならば600万円以上の労働生産性が必要となります。
中小企業でも4%賃上げを実現し高収益企業として成長発展している企業があります。
共通点は、「労働生産性」を意識した経営が出来ており、社員への「原価の見える化」「収益の見える化」が出来ており、洗練された「人財育成・教育」が出来ています。
下図のポートフォリオ解析は、製品群毎、顧客群毎に売上高と営業利益率をプロットしたものです。例えば、Top10の顧客群の収益性の推移を把握し、何をすべきかを判断する等の重要な経営解析手法です。
当然のように売上高も高く営業利益が高いのがいいのですが、Top10顧客でも「スター」は少なく「問題児」は多く、中には「負け犬」もあるのです。
高収益企業はこのポートフォリオ解析による「収益の見える化」が定着しており、「問題児」の原価低減が必要性を共有しており、知恵を出し合い収益を追求する活動を他部署も力を合わせ展開しています。決算手当獲得、年収アップの為にいくら労働生産性を上げなければならないかも社員にも「見える化」が出来ており、ワクワク感をもって収益追求活動を展開しています。先に述べた「事業分野別指針」のIT/ロボット活用、組織の活性化等7つの「事業分野別指針」が全て導入定着している点が高収益企業の共通点です。
4%賃上げ実現の為には「事業分野別指針」の普及による中小企業の経営力強化が重要
当社のような「事業分野別経営力向上推進機関」は、中小企業者等の経営者層及び従業員に対して、セミナーなどを通して、全ての「事業分野別指針」を教える事ができる支援機関として主務大臣によって認定される機関です。その為に一般社団法人日本能率協会殿及び当社等を含め全国で14機関しかありませんが、役務である「事業分野別指針」の普及啓発により、中小企業の経営力強化が重要となります。
当社は、その為に「事業分野別指針」の普及だけでなく、以下に示す「中小企業でのリスキリングの重要性」の啓蒙活動及び幹部研修等を通して「中小企業での本気の賃上げ実現」の為の活動を今後も展開していきます。
中小企業の労働生産性向上の為に今こそ中小企業の本気のリスキリングが必要。
中小企業の賃上げを実現する為には、「原資の確保」が重要であり、その為には「労働生産性向上」が出来る経営、すなわち「原価計算」位はできる数字・DXに強い人財育成と「原価・収益の見える化」ができ全社員が生産性・収益性を追求する経営の確立が最重要です
その為に、今こそ中小企業の本気のリスキリングが必要なのです。
先ずは、「事業分野別指針」の7つの指針の中で最重要事項として「標準原価の把握」ができる企業にする為の「リスキリング」が必要です。上記のポートフォリオ解析を基にした「収益の見える化」が出来て、「意識改革」により、全社員が一丸となって生産性・収益追求する経営ができるならば、必ず大幅に儲かる会社になります。
稲盛氏は「意識改革」と「収益の見える化」でJALを再建しましたが、当社はJAL再建稲盛式と同じ既に20社以上を高収益企業に変革してきました。これらの経験を基に次世代経営幹部育成にも注力してきました。
僅か2ヶ月でも大幅に労働生産性を向上できる幹部育成のリスキリングは出来る。
上記の7つの「事業分野別指針」を取り入れた企業は必ず「持続的賃上げ実現できる企業」です。これまで全てを盛りこんだ「経営塾3カ月コース」を開催してきましたが、僅か2ヶ月でも大幅に労働生産性を向上できる幹部育成のリスキリングは出来る「究極の経営幹部育成塾2ヶ月コース」を開講する事にしました。
労働生産性向上及び経営幹部育成に悩んでいる経営者が多くおられる事から「社長の悩みがわかる社長経験者による個別相談会」も開催しております。リスキリング講座「究極の経営幹部育成塾2ヶ月コース」の具体的内容等も説明致します。
https://note.com/modern_azalea790/n/n8d9bd75c2390
https://note.com/modern_azalea790/n/n69b9c38a8ce2
政府・行政の方、メディアの方々も
「今こそ中小企業の本気のリスキリング」の重要性を認識頂き、啓蒙活動及び政策で加速願いたい。
当社は、経済産業大臣認定の「事業分野別経営力向上推進機関」(全国で14機関のみ)として、これまでも経済産業省及び政府等への「中小企業の本気の賃上げ」実現の提言等の活動を展開してきました。岸田内閣の「1兆円リスキリング政策」もこの半年間大きな進展もなく、まだまだ不十分で、特に提言させていただいた「中小企業視点でのリスキリング」は後回しです。
上述したように、中小企業の実態から、労働生産性を上げる経営が出来着るようにする為には、経営陣を含めた「中小企業でのリスキリング」は加速すべきであり、「1兆円リスキリング政策」に盛り込むべきと考えます。
最後に「価格転嫁」だけでは4%賃上げは実現できません。中小企業等強化法の「事業分野別指針」に基づき「労働生産性を意識した経営が出来る中小企業の育成」が喫緊の課題であると強調させて頂きます。