古代インドと中国の香水
ヨーロッパでは一時期香水の使用が拒絶されましたが、他の文化では香水がこよなく愛されていました。例えば、香水はインドの密教の儀式や寺院で使用され、古代の中国では、筆墨や文房具などの日常アイテムに香料が加えられていました。
中国の人々はまた、香水を消毒や浄化のために使用し、病気を引き起こす物質を取り除くことができると信じていたのです。
唐や宋の時代から、王族や貴族など身分の高い者たちは香水を使用し始め、シルクロードを通じて原料を輸入していました。元、明、清の時代になると、香水は一般の人々の間でも徐々に普及しました。
東洋の香水は主にハーブや香辛料を多用し、これらはまた食品や薬品にも使用されています。
ルネサンス期の香水
11世紀頃のヨーロッパでは、十字軍の東征により、香水の製造技術が徐々に流れ込み、中には花びらを蒸留する技術も含まれていました。
ペストが流行していた時期、医師たちは薬草や香辛料を浸したオイルを身に着け、鳥の形をした仮面を被りました。香油や香辛料で「疫病の悪臭」を除去できると信じられていたからです。
14世紀になると、イタリア人たちは香水の製造技術をほぼ完成させ、液体の香水が徐々に固形の香水に取って代わりました。マルコ・ポーロとそのチームは帰航の際、多くの珍しい香辛料や香水の原料となる植物を持ち帰り、これにより、ヴェネツィアは主要な香水の貿易拠点となりました。
フランスの王妃、カトリーヌ・ド・メディシスは香水をヨーロッパの他の地域に広めた第一人者とされています。彼女のイタリア人の調香師、フロレンティーノは、オレンジの花とベルガモットを使って彼女のために唯一無二の香水を作り、その魅惑的な香りは貴族の間で広く称賛されています。その後、ハンガリーの女王エリザベスなど他の貴族たちの情熱ぶりが、香水の普及を推進しました。
香水がファッションアクセサリーとして認識されるようになったのは、まさにこの十六世紀初頭からです。ヨーロッパでは、男女ともに香水を身体、服、髪の毛に付けて香りを楽しみます。そして、次第に香水により複雑な成分を加え始め、龍涎香(りゅうぜんこうは、マッコウクジラの腸内に発生する結石であり、香料の一種である)や麝香(じゃこうは雄のジャコウジカの腹部にある香嚢から得られる分泌物を乾燥した香料)、霊猫香(れいびょうこうとはシベット(civet)とも呼ばれるジャコウネコの分泌物であり、香料として使用)などが使用されるようになりました。定期的な入浴が一般的ではなかったこの時代では、これらの香りは不快な体臭を隠すために使われました。
初期の香水の製造
歴史の中で香水の製造方法は、原材料を小袋に詰めて携帯することから、現代においては各大ブランドの液体香水まで大きな進化を遂げました。
初期の香水は、樹皮、木材、植物の根、葉、花、種子などの天然の素材から作られていました。香水の製造は古代エジプトとメソポタミアで始まり、その後、ペルシャ人やローマ人によって発展しました。これらの古代文明では、香料を固形香水に加工し、宗教儀式や身体に塗布するために使用されていました。没药(没薬・もつやく)やフランキンセンスは木から抽出され、燻香に製造されました。ローズやミントなど香りを発する植物はオイル漬けが一般的でした。
貿易路線の拡大に伴い、人々はより多くの種類の香り素材、例えば異国情緒あふれる香辛料やハーブなどに触れるようになりました。これらの香料は通常アロマ製品として使われます。
香水の容器も、当初の木材や粘土素材からガラス瓶に進化し、絵画が施された花瓶や、透かし彫りの容器さえも香水や香料の容器となりました。
現代の香水
今日、香水は多くの人々によって使用され、すでに流行のファッションアクセサリーとなっています。香水の成分には天然のものもあれば、合成のものもあり、香りもシンプルなものからグラデーションのように移り変わっていくものまで、実に様々です。
市場には数百種類の香水が並び、永久不変のクラシックな香りから新しく生み出された不思議な香りまで、価格は非常に高額なものから比較的安価なものまで、さらには同じ香りでも異なる濃度が選べるものまで多種多様です。
かつて贅沢品や階級の象徴だった香水は今、手の届く範囲にあり、もはや富裕層や貴族だけのものではありません。香水は、個人の趣味やスタイルを表現するアピールポイントです!
(完)
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