最近の研究によると、ワクチンや抗ウイルス治療が広く普及した時期において、新型コロナ後遺症(ロングコビッド)患者の大半がワクチン接種者だったという。
「Journal of Clinical Medicine」誌に発表された観察研究では、「新型コロナパンデミックの第5波」の時期に新型コロナに感染したタイ在住の390人に、研究者らがインタビューを行った。患者は診断の3か月後から1年間、電話で追跡調査され、体調、精神状態、睡眠障害、生活の質がモニターされた。
新型コロナ感染者390人のうち、377人(97%)がワクチン接種を受け、383人(98%)が抗ウイルス治療を受け、330人(78%)がロングコビッドを発症した。最も多く報告された症状は倦怠感と咳だった。その他の症状としては、抑うつ、不安、睡眠の質の低下などが報告された。研究では、初期症状として咳を伴う60歳未満の患者が発症しやすいことがわかった。研究者らは、ロングコビッド患者のサブセットにおいて、女性の頭痛、めまい、ブレインフォグとの顕著な相関を発見した。
「ワクチンや抗ウイルス療法が広く普及しているにもかかわらず、ロングコビッドの有病率は依然として高い」と論文著者らは書いている。
ロングコビッドの定義は様々だ。米国疾病対策予防センター(CDC)は、「急性の新型コロナに感染した後に患い続ける徴候、症状、状態」と広義に定義しており、「数週間、数か月、数年」続く可能性があるものとしている。ロングコビッドには、SARS-CoV-2(新型コロナのウイルス名)感染の急性期後続発症、長期間の新型コロナ感染症、急性期後新型コロナ感染症も含まれる。
世界保健機関(WHO)によると、新型コロナに感染した人のほとんどは回復して通常の健康状態に戻るが、軽症患者を含め、急性疾患から回復した後も数週間から数か月にわたって症状が持続する人もいるという。
2022年にCDCが行った調査では、米国の成人の7%近くがロングコビッドを経験したことがあると答えている。米国の規制当局は、新型コロナワクチン接種によってロングコビッドの発症リスクを低減できると主張しているが、今回の論文では、合併症の有無や感染の重症度とロングコビッド発症との間に有意な関連性は認められなかった。
ロングコビッドとワクチン接種を関連づける研究
CDCが2月に発表した報告書によると、米国7州の被験者の8%以上がロングコビッドの症状を経験したことを報告している。ウェストバージニア州では、調査参加者のほぼ11%がロングコビッドの症状を訴えた。しかし、CDCは調査回答者がワクチン接種を受けているかどうかについては明らかにしていない。
新型コロナワクチンが抗体を誘導するために使用するSARS-CoV-2のスパイクタンパク質に対する免疫の過剰反応によって、ロングコビッドが引き起こされる可能性を示唆する研究もある(新型コロナワクチン接種によって、最初の抗体を標的とする第二の抗体が生成される人もいる)。
2023年2月に「Journal of Medical Virology」誌に発表された研究で、研究者らは、新型コロナで入院した患者のスパイクタンパク質とウイルスRNAのレベルを、ロングコビッドを伴ったか伴わなかったかで分析した。その結果、スパイクタンパク質とウイルスRNAはロングコビッド患者により多く存在することが判明した。
2023年8月に「International Journal of Infectious Diseases」誌に発表された研究で、研究者らは、SARS-CoV-2感染の既往がある人の方がロングコビッドにかかるリスクが低く、ワクチン接種の有無によってロングコビッドにかかるリスクに差はないことを明らかにした。ワクチン未接種のオミクロン感染者が最もロングコビッドのリスクが低いことがわかった。
「European Review for Medical and Pharmacological Sciences」誌に掲載された2023年の研究で、研究者らは81人のロングコビッド患者の血清を調査した。その結果、感染が消えた後の患者1人から、新型コロナ検査が陰性であったにもかかわらず、ウイルスのスパイクタンパク質が見つかり、ワクチン接種2か月後の患者2人からもワクチンのスパイクタンパク質が検出された。
2022年12月に「PLOS ONE」誌に発表された研究では、既往症がある場合や新型コロナの急性期における症状の数が多い場合、また感染症が重症であったり入院を余儀なくされた場合、あるいは新型コロナワクチンを2回接種した場合などに、患者がロングコビッドを経験する可能性が高いことが判明した。
エポックタイムズはCDCにコメントを求めたが、記事発表時までに返事はなかった。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。