ガーダシル導入から2年以内に32件の死亡報告 平均年齢は18歳

子宮頚がん予防のHPVワクチン接種後の明らかな死亡事例(上)

連載記事「HPVワクチンは両刃の剣か?」第1章

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、子宮頸がん予防の主な手段として医師から推奨されており、医師をはじめ多くの人々がリスクは存在しないと信じています。ワクチンとの明確な関連性が証明された症例はないと考えているからです。本当にそうでしょうか?HPVワクチンは素晴らしい予防効果を約束するのでしょうか?それともベネフィットに勝るリスクを持った両刃の剣なのでしょうか?

この連載では、HPVワクチンの一種であるガーダシルに関連する死亡や重篤な障害について、エビデンスとなる文書を提供し、その有害性の原因を分析し、解決策を提示します。

第2章:子宮頚がん予防のHPVワクチン接種後の明らかな重症事例(上)

第3章:子宮頸がん予防のHPVワクチンに含まれる否定しようのない毒性成分(上)

第4章:HPVの背後にいる子宮頸がんの真犯人とは(上)

感染症専門医、そして医学博士としての20年来のキャリアを通じて、私は多岐にわたる研究に専念し、様々なウイルスとワクチンに関する深い知見を得ました。臨床研究にも積極的に参加し、医薬品の有効性や安全性の評価に関する豊富な知識を身につけました。私の専門分野は実験室での実験にとどまらず、それらが個人に与える影響についての総合的な理解にまで及びます。

32年前に医師としての神聖な職業倫理である「ヒポクラテスの誓い」を約束して以来、私は強い責任感を持っています。その責任感から、若者の命に大きな影響を与えるHPVワクチンについて、自分の見解を述べることが必要だと感じています。

HPVワクチンについて考えている皆さんに、私の考えと推奨事項をお伝えします。

HPVワクチンとCDCの勧告

医療品規制を責務とする米政府機関のアメリカ食品医薬品局(FDA)が認可したHPVワクチンは以下の3種類日本国内で使用できるワクチンも同じ)。4価ワクチン(ガーダシル、2006年6月に承認)、2価ワクチン(サーバリックス、2009年10月に承認)、そして9価ワクチン(ガーダシル9、2014年12月に承認)です(日本国内では9価ワクチンの名称は「シルガード9」)。

HPVには200種類以上の型が存在し、そのうち子宮頸がんと関連している高リスクの型は14種類あります。その内訳はHPV16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、66型、68型です。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の情報によれば、3種類のワクチンとも16型と18型に対して予防効果があります。HPV関連のがんの大半はこの2つの型が引き起こします。ガーダシル9はHPV6型、11型、16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型を含みます。

サーバリックスは2016年に「需要が非常に低い」という理由でアメリカ市場から撤退しました。そのため、今回の連載ではガーダシルとガーダシル9に注目します。

CDCは、「HPVワクチンは11歳または12歳の定期接種が推奨されています。HPVワクチンは9歳からの接種が可能です」と勧告しています。HPVワクチンは、初めて接種する年齢によって2回または3回接種します(日本も同様)。

ワクチンの安全性評価は医薬品よりも厳格

ワクチンについて語るとき、通常リスクとベネフィットが分析されます。ワクチンの安全性に対するハードルは治療薬よりもはるかに高く設けられています。

医薬品は、生きるために薬が必要な患者に使用されます。ワクチンの予防接種は、主に健康な人が伝染病に感染しないようにするためのものです。

ここでは、ワクチンの「治療的使用」は議論の範囲外です。

ワクチンは健康な集団に投与されるため、通常は認可の前後段階に厳格な安全性と有効性の研究が行われます。ワクチンの安全性評価は、承認前に非常に厳格かつ徹底的に行われることになっています。

医薬品は、例えば心臓病など、病状を持つ患者を治療するために処方されます。患者は症状を改善するため、あるいは死亡のリスクを減らすために薬の服用を選択します。

医師は薬のベネフィットが、起こりうる副作用のリスクを上回るかどうかを評価します。患者が病状に苦しんでいる場合、薬剤のベネフィットがリスクを上回ることが多いです。

ワクチンは、将来起こりうる伝染病から患者を守るために健康な人に投与するため、リスクは完全に明らかにされなければなりません。ワクチンは健康な免疫系を損ない、人生を変えてしまう可能性があります。その短期的・長期的な安全性と忍容性について、十分な情報が提供されなければなりません。

最も重要なことは、ワクチンが「重篤な有害事象(SAE)」に当てはまる死亡や障害のリスクと関連したり、その一因となったりしてはならないということです。

医薬品規制調和国際会議(ICH)の製薬業界のガイドラインによると、SAEとは以下のような予期せぬ医療上の出来事を指します。

  • 死に至るもの
  • 生命を脅かすもの
  • 入院または入院期間の延長が必要となるもの
  • 永続的または顕著な障害・機能不全に陥るもの
  • 先天異常をきたすもの

ワクチンに関するいかなる死亡も許さないという法的要件はありませんが、死亡と関連していると思われる時にワクチンの投与を継続することは、明らかにヒポクラテスの誓いに違反しています。

2016年4月、フィリピンでは9歳児を対象としたデング熱ワクチン(デングワクシア)の接種プログラムが始まりました。このプログラムでは、約87万5千人の子どもが少なくとも1回、約40万人が2回、35万人が3回の接種を受けました。

2018年9月時点で、19人の子どもの死亡が確認されました。2019年2月、フィリピン当局はワクチンの認可を取り消しました。

デングワクシアの導入失敗をめぐり、フィリピンの著名な小児科医と医学研究者が起訴されました。

HPVワクチンの安全性に関する徹底的な調査の後に私が行なった因果関係の分析に基づくと、HPVワクチンに関連する死亡を含むSAEが報告されています。

これは非常に憂慮すべきことですが、十分に報道されていません。なぜでしょうか?

HPVワクチン接種後の健康な少女の死亡例、FDAとCDCが報告

私はキャリアにおいて、製薬会社の医療安全分野で働いたことがあります。特定の医薬品とSAEとの間に因果関係が存在するかどうかを判断するのが私の役目でしたので、重篤な有害事象が発生した何百もの症例を徹底的に評価しました。

この分野での仕事に基づき、私は自信を持って、以下の事象の因果関係評価をHPVワクチンによるものと見なします。HPVワクチンを接種するかどうかを十分な情報に基づいて決定するためには、リスク評価が不可欠です。

ワクチン有害事象報告システムに報告された、4価HPVワクチンであるガーダシルの投与に関連した9歳から26歳の女性のSAEに基づく包括的な解析が行われました。FDAとCDCが執筆したこの研究は、一流医学雑誌のJAMAに掲載されました。

ガーダシルが使用可能になってからわずか2年以内に、32件の死亡例がありました。平均年齢は18歳でした。死亡までの期間の中央値は14. 5日、平均は47日でした。この32件の死亡例のうち、6例が心臓関連(不整脈4例、心筋炎2例)、3例が肺塞栓症関連でした。

正規分布が確認されていないデータセットを扱う場合、平均値ではなく中央値を使わなければならないことに注意が必要です。中央値の方が、確認できていないデータ群内の全体的な傾向をよりよく表しているからです。

比較的良好な医学的背景を持ち、死亡の原因となるような持病もない、若く健康な女性の集団が4価HPVワクチン接種後に中央値14.5日以内で死亡しています。このことを強調することは、極めて重要です。

薬剤と有害事象との因果関係を評価するための業界で一般的な基準に基づけば、これらの死亡事象はワクチン投与との間にもっともらしい時間的関係があり、これらの若い女性における他の既往症では説明できません。HPVワクチンとの因果関係は大いにあり得るとは言えないまでも、少なくとも「可能性は高い」「ありうる」「もっともである」と考えるべきであり、除外すべきではありません。

もし私がこれらの死亡を「無関係」とみなすならば、それは無責任な判断であり、医師としての誓いに反することになります。

それでも、HPVワクチンとの関連性を認めるエビデンスはなく、これらの死亡は無関係だと主張する人もいるかもしれません。

しかし、因果関係が完全には認められていないからといって、全く関係性がないということにはなりません。

この分析では、これらの死亡例はシグナル検出の審査基準を満たしていないと結論づけています。シグナル検出は通常、1件以上の報告からパターンを見つけることに基づいており、それによって因果関係を判断するためのさらなる評価の必要性を正当化します。しかし、これは単なる統計の問題ではありません。HPVワクチンのような医療介入後のすべての死亡事例について、ありうる因果関係を徹底的に調査する必要があります。

エポックタイムズのシニアメディカルコラムニスト。中国の北京大学で感染症を専攻し、医学博士と感染症学の博士号を取得。2010年から2017年まで、スイスの製薬大手ノバルティスファーマで上級医科学専門家および医薬品安全性監視のトップを務めた。その間4度の企業賞を受賞している。ウイルス学、免疫学、腫瘍学、神経学、眼科学での前臨床研究の経験を持ち、感染症や内科での臨床経験を持つ。