日韓中サミット、台湾海峡についての言及避ける
台湾海峡の緊張が高まるなか、日本、韓国、中国の3首脳らは、5月27日にソウルで三国首脳会議を行った。会議後の共同声明では、北朝鮮の非核化と地域の平和維持の重要性が再度強調されたが、台湾海峡の状況には言及されなかった。
韓国の尹錫悅大統領は、「地域の平和と安定を守ることは、我々にとって非常に重要だ。国連安全保障理事会の決議を徹底的に履行し、北朝鮮の非核化を目指すための取り組みが求められている」と述べた。
これは、日本、韓国、中国が4年ぶりに再開した三国間の首脳会議だ。5月27日の会議当日、三国は記者会見を開き、共同声明を発表した。その声明で、北朝鮮の非核化と地域の平和維持の重要性は確認されたが、台湾海峡に関する言及は避けられた。
時事評論家の李林一氏は次のように述べている。「中共(中国共産党)が会議に参加している限り、台湾に関するどんな声明も反対される。つまり、日本、韓国、中国の首脳が集まる会議での共同声明は、中共の承認がなければ、決定も発表もされない」
今回の首脳会議には、中国から経済を担当する李強総理が出席した。専門家たちは、これを中共が敏感な問題、特に台湾海峡の問題から意図的に距離を置こうとしている表れだと分析している。
大紀元のコラムニスト、王赫氏は次のように述べている。
「現在、日本、韓国、中国の間で国家安全保障と台湾海峡を巡る対立が激化していえる。日本と韓国は米国と連携しており、中共とは対立している。そのため、今回の首脳会議では、合意が得やすい問題に焦点を当て、台湾海峡の問題は意図的に議題から外された」
李林一氏は、「習近平は中共から絶対的な地位を与えられており、彼が会議に参加する際には中共の求める成果を出す必要があり、その際の面子も重視される。日本、韓国、中国の首脳会議では、政治的、経済的に大きな成果を得ることは難しいため、習近平の参加は期待されていない」と述べている。
今回の首脳会議では、三国は経済貿易の連携を強化し、日本、韓国、中国間の自由貿易協定の交渉を早期に再開し、成立を目指している。しかし、分析によると、中国経済の減速、外資の流出、生産能力の過剰が、国際貿易に悪影響を与えており、中共が約束を守るのは困難とされている。
王赫氏は、「米国、日本、韓国の連携は進んでいるが、日本と韓国は、中共との関係を完全に断つことは望んでいないため、三国間の会談が再び行われた」と話している。
首脳会議の前日、岸田文雄首相は、李強氏との会談で台湾海峡の安定について懸念を表明した。さらに、福島の核廃水問題に関連する水産品の輸入禁止措置の撤廃と、拘束されている日本人の解放を中国に要求した。