2015年3月24日、ワシントンD.C.の印刷局で印刷機にかけられる1ドル札。(Mark Wilson/Getty Images)
お金は紙切れに過ぎない媒体

通貨供給の増加は経済成長を促進するのか?

多くの経済評論家は、通貨の供給量を増やせば経済が活性化すると信じている。この考え方は、人々が手元に多くのお金を持つことで、消費が増え、それに他の人々も続くとするものだ。これはお金を単なる支払い手段と見なしているためである。

しかし、お金は支払い手段ではなく、交換の媒介物である。お金は生産者が自分の製品を他の生産者の製品と交換するのを助けるものだ。マレー・ロスバードは(オーストリア学派の経済学者であり、アメリカ合衆国のリバタリアニズム(個人的な自由、経済的な自由の双方を重視する、自由主義上の政治思想・政治哲学の立場)の形として「無政府資本主義」と名付けた自由市場無政府主義の理論体系を提唱した)によれば、「お金自体は消費されず、生産過程で直接使用することもできない。したがって、お金自体は生産的ではなく、何も生産しない死蔵物である」支払い手段は常に財やサービスであり、お金はそれを媒介するだけである。

例えば、パン屋はパンをお金と交換し、そのお金で靴を買う。実際には、お金ではなく、彼が作ったパンで靴の代金を支払っているのだ。パン屋のパンの生産が貨幣需要を生み出し、お金が最も市場で取引されやすい商品だからである。お金を持っている人は、それを自分が必要とする財やサービスと交換できると信じている。これは、肉屋が自分の肉で靴を買おうとしても、靴屋がベジタリアンである場合に交換ができないということと対照的である。

▶ 続きを読む
関連記事
東京株式市場の前場で日経平均が下げ幅を拡大し、一時800円超の下落を記録。米株高後の過熱感から利益確定売りが膨らみ、植田日銀総裁の講演を前に投資家が警戒
金価格の高騰を背景に、日本への金の密輸が3年連続で急増している。片山さつき財務大臣は28日、税関で申告のない金について没収を可能とする制度改正を明らかにした。不正薬物以外の没収対象化は初めてであり、財務当局が金密輸を従来より深刻な脅威と捉えていることがうかがえる
中国が福島処理水と高市首相の台湾発言を理由に日本産海産物の禁輸を再開したと報じられる中、米大使が「今回も日本を強力に支援する」と明確に表明。日本は米国市場へのシフトを加速
ソニーや三菱自動車など多くの日本企業が中国で事業縮小や撤退を進行中。生産拠点は東南アジアやインドへの移転が目立つ
自民党はメガソーラーの地域共生と規律強化に向け、5部会合同会議を開催。年内に政府提言をまとめる方針だ。