老眼、近視、飛蚊症、ドライアイに漢方から7つの対策

パソコンやスマートフォンを長時間に見つめると、が乾いたり、疲れたりして、物がぼやけて見えてくる時があります。または、冷房が効いた部屋での長時間作業や、徹夜でドラマを見たり、ゲームをしたりすることも目に負担をかけます。

数千年の歴史を持つ漢方医学は、自然界から取った薬草、ツボマッサージ、食事療法、目の運動、温湿布など自然療法を用いて、目の病気の予防と治療を行い、目の健康を守ります。

漢方医つまり古代中国の医学において、人間の体には栄養とエネルギーを全身に運ぶ通り道があると考えています。その通り道のことを「経絡」と呼びます。

経絡の一部が詰まってしまいますと、対応している臓器へ届けるべき栄養とエネルギーは不足が起きます、それは病気になる原因だとされています。その時、対応するツボをマッサージしたり、鍼灸を施術したりすれば、詰まった経絡が疎通され、自然に回復できると考えています。

1.漢方薬草茶で目をケアする

漢方では、の花とクコの実をお茶にして飲むと、視力回復、目の健康維持に良い効果があるとされています、さらにケツメイシ(決明子)を加えると、その効果を高めることが期待できます。

クコの実入り菊花、決明子茶

クコの実入り菊花、決明子茶(Shutterstock)

 

薬材:菊花3g、ケツメイシ5g、クコの実5g。
作り方:ティーポットに上記の材料と300ccから500ccのお湯をいれ、蓋して蒸らします。
使い方:家族一緒に飲みましょう。また、薬材をティーバッグにし、子どもが学校に行く時に持たせ、温水ポットに入れるだけで、新鮮お茶を飲むことができますし、目の健康も守れます。
効果:菊花とクコの実は目を潤し、乾燥を和らげる効果があります。ケツメイシは目を守る優れた薬材で、緑内障、白内障、乱視などの眼疾に有効とされています。臨床研究では、ケツメイシとクコの実のエキスをメイン成分にしたサプリメントは、ドライアイに明確な効果があったとわかりました。

また、生のケツメイシをお茶にして飲むことで、腸を潤し、便通を促し、脂肪を燃焼させ、血圧を下げる効果もあります。便秘、肥満、高血圧の方に毎日飲みましょう。ケツメイシにはフラボノイドやアントラキノンの化合物が含まれており、抗酸化、抗炎症、肝臓の保護、免疫調整、血中脂質を低下させるなどの効果もあります。

生のケツメイシをお茶にして飲むことで、腸を潤し、便通を促し、脂肪を燃焼させ、血圧を下げる効果がある(Shutterstock)

注意事項:ケツメイシには子宮収縮と血圧降下の作用があり、また寒性の生薬に分類されるため、妊婦や低血圧の方、冷え性で手足が冷えやすい体質の方は、控えてください。

クコの実には抗酸化物質であるゼアキサンチンとルテインが含まれており、加齢黄斑変性症、白内障、網膜色素変性症など眼疾患に対して予防や治療の効果があります。

研究では、菊花のエキスを摂取することで、光損傷による酸化ストレスを軽減し、網膜の保護にも繋がる結果が示されています。
 

2.ツボのマッサージで目をケアする

研究では、目の周りのツボをマッサージする目の体操は、近視から目を守る効果がある上、耳のツボのマッサージを併用することで、青少年の仮性近視の治療にも良い効果がある報告がありました。また、臨床報告では、老眼の患者が特定のツボに針灸治療を七日間行った結果、近距離での視力が明らかに改善された結果を明記しました。

10個のツボ(図を参照)をご紹介します、1回につき3~5分程度のマッサージを行いましょう。

光明一、光明二:小指の指腹部と第二関節に位置します。

光明一、光明二(胡乃文開講提供)

光明:ふくらはぎの外側、外くるぶしの上に5寸の位置にあります。これら3つのツボをマッサージすることで、目を守り、目の疲れ、乾き、老眼近視、視界のぼやけを改善するのに役立ちます。

光明(胡乃文開講提供)

風池:このツボは血行を促進させ、目の疲れや痛みが改善されます。

風池(胡乃文開講提供)

太渓:このツボは腎経に繋がり、視力を改善できます。
湧泉(ゆうせん):このツボは目の乾きや疲れ、かすみを緩和します。

攢竹(さんちく)、魚腰(ぎょよう)、瞳子髎(どうしりょう)、承泣(しょうきゅう):4つのツボは目の周りにあり、目の乾燥や痛みを和らげ、たるみの解消にも役立ちます。

攢竹(さんちく)、魚腰(ぎょよう)、瞳子髎(どうしりょう)、承泣(しょうきゅう)のツボ(胡乃文開講提供)

 

3.ストレッチで目をケアする

目の健康を守る2つ簡単なストレッチをご紹介します。

1.目のリラックス運動

まず、両手のひらをこすり合わせて温めます。次に、両手の指を内側に少し曲げ、手のひらまたは指先を目の前に置きます(図の通り)。

両手の指を内側に少し曲げ、手のひらまたは指先を目の前に置く(胡乃文開講提供)

 

両手を時計回りに9回、反時計回りに9回回します(図の通り)。目は閉じても開けたままでも、瞳は手の動きに合わせて動いてもしなくても構いません。

両手を時計回りに9回、反時計回りに9回、回す(胡乃文開講提供)

 

両手には合計6本の経絡が通っているので、そのエネルギーを目に伝えることになるので、目が非常にリラックスを感じられます。
 

2.まばたき

研究によると、長時間スクリーンに目を集中させると、乾きや疲れ、異物混入感や灼熱感が生じ、さらには頭痛を引き起こすことがあります。頻繁にまばたきをすることによって、ドライアイになるリスクを最大限に減らすことができます。

そのため、スクリーンを見る際には、こまめにまばたきをするように心がけましょう。まばたきは涙液の分泌を促し、汚れを洗い流して、目を守る効果があります。

人工涙液や目薬の使用に注意

目の乾きを和らげるために人工涙液や目薬を使う方もいますが、人工涙液は化学製剤であり、一時的に緩和をかんじますが、根本的な治療にはなりません、頻繁の使用を避けましょう。目薬はたいてい血管収縮剤が入っています、血管収縮剤をむやみに使用することには問題が多く、お勧めできません。目薬は、血管収縮剤を含まないものを使いましょう。
 

4.温湿布で目をケアする

過去の臨床経験で、「首振り法」を実施することによって、一部の飛蚊症患者の症状を改善できました。効果はない場合は、中国古代の知恵を活かした「消風散」という温湿布を試して見ましょう、

薬材陳皮 3g、秦艽 3g、防風 3g、細辛 3g、黄連 1.5g、木香 1.5g
作り方:薬材を壺に入れ、300ccの熱湯を注ぎ、煎じます。煎じ液を熱いまま大きめの容器に注ぎます。
使用方法:タオルを容器に入れて熱い薬液に浸し、軽く絞ってから目の上に広げて約10分間湿布します。
効能陳皮と木香はエネルギーの流れを促し、湿気を取り除きます。秦艽、細辛、防風は体内に侵入した風邪(病気の原因)を除去し、黄連は熱を冷まし、解毒作用があります。
注意事項:温湿布の温度は適温に保ち、冷たすぎず熱すぎず、必ず目を閉じて行うようにしましょう。

温湿布で目をケアする(胡乃文開講提供)

 

5.蒸気で目をケアする

中国の古書《銀海精微》には「洗眼散」という処方が記載してあり、蒸気で目をケアするために使われています。目の乾きや疲れを和らげ、老化を防ぐ効果が期待できます。

薬材大黄、山梔子、防風、薄荷、川芎、羌活、甘草など各3g
作り方:薬材を壺に入れ、300cc~500ccの沸騰したお湯を注ぎます。       使用方法:煎じた薬液をカップに注ぎ、カップから出る蒸気で目を当てます。蒸気の温度は熱すぎず冷たすぎずに、手の甲で確認しましょう、毎日10分程度で、1週間続けると、より良い効果が期待できます。

蒸気で目をケアする(胡乃文開講提供)

 

効能:大黄と山梔子(クチナシ)は体内の熱や火邪を取り除くことができます、過剰な肝火を鎮めることによって、目の乾きは自然に解消されます。防風、薄荷、羌活は体内の風邪を取り除き、川芎は血の巡りをよくし、甘草は熱を取り、解毒します。熱、火邪、風邪は万病のもととなります。

大黄には抗炎症、抗繊維化、抗がんなどの作用もあり、2型糖尿病リスクの著しく低減や血管拡張効果も期待できます。
 

6. 食事で目をケアする

目のケアに役立つ豚レバーとほうれん草のレシピ、同じ効果をもつ4つの食材もご紹介します。

ほうれん草にはルテインとゼアキサンチンが非常に豊富に含んでいます、研究では、前記二種類のカロテノイドを多めに摂取することによって、新生血管性加齢黄斑変性症のリスクが著しく低下できるとわかりました。

1)豚レバーとほうれん草のレシピ

材料:豚レバー60g、ほうれん草130g、ごま油と塩少々、スープ(任意)1000cc、補骨脂、穀精草、クコの実、川芎各少々
作り方:豚レバーをスライスし、スープを沸かしてから、全ての食材と薬材を入れ、5分煮込んだら出来上がりです。
注意事項:ほうれん草に含まれているシュウ酸を取り除くため、調理する前に下茹でしましょう

2)目のケアに役立つ四つの食材
桑の実、クコの実、かぼちゃの花、カリフラワーは目に良い食材です。継続的に摂取することで、聴覚と視力を向上させる効果があります。クコの実はドライフルーツの代わりに1日10粒程度食べるのが理想で、過剰摂取は下痢の原因となります。研究によると、クコの実は目の健康や網膜の疾患に効果があるとされています。

注意事項:ネギ、ショウガ、ニンニク、唐辛子など刺激性のある食べ物を食べると目がしょぼしょぼ感じることがあります。食後に目の不快感を感じた場合は、濃いお茶を一杯飲むと改善されます。
 

7. ドライアイを対策するお茶

高齢者の目はよく乾きを感じる上、鼻涙管も詰まりやすくなります、そのため涙がうまく排出できず、目やにが出ることがあります。「ドライアイ対策茶」は症状の改善に役立ちます。
薬材:黄耆19g、当帰、補骨脂、クルミの実、熟地、クコの実 各11g
作り方:薬材を壺に入れ、沸騰したお湯を2000cc注いで煎じ、そのまま飲みます。
注意事項:急性の風邪を引いた時には使用を控えましょう。
薬材は、健康食品やアジア系食材を扱う店で購入できます、体質は個人差があるため、具体的な治療については専門医にご相談してください。

(翻訳編集 正道 勇)
 

王賀
胡乃文
台湾台北市にある上海同徳堂の伝統中国医学医師。カリフォルニア州サニーベールのNine Star University of Health sciencesの教授であり、また、スタンフォード研究所で生命科学の研究員としての経験を持つ。20年以上の臨床経験を通じて、14万人以上の患者を治療。中医学を用いて世界で5人目の悪性黒色腫患者を治癒させたことで名を馳せる。現在、登録者数70万人を超えるYouTubeの健康番組を主宰。また、オーストラリアや北米などで開催されている健康とウェルネスに関する人気のロードショーでも知られている。