スマホやパソコンを長時間使っていると、目の乾燥や疲れ、視界がぼやけるなどのトラブルに悩まされること、ありますよね。エアコンの効いた部屋に長くいたり、夜遅くまでテレビを見たりゲームをしたりするのも、目に負担をかけてしまいます。そんなときに役立つのが、伝統的な中国医学による目のケアです。
TCMは、何千年も前から多くの病気の治療に使われてきた自然療法です。ハーブを使った治療、ツボの刺激、食事の見直し、目のエクササイズや温湿布など、さまざまな方法で目のトラブルを防ぎ、健康を保つことができます。
TCM「Traditional Chinese Medicine(伝統的な中国医学)」では、経絡(けいらく)というエネルギーの通り道が体内にあり、栄養やエネルギーを体中に運んでいると考えられています。この経絡が詰まってしまうと、関連する臓器に栄養とエネルギーが届かず、病気になりやすくなってしまいます。経絡に沿ったツボをマッサージしたり、針で刺激することでエネルギーの流れを良くし、臓器の健康を促進することができるのです。
目の健康を守るハーブティー
中医学では、目のケアに効果的なお茶として、菊の花茶にクコの実を加えたお茶がよく利用されています。さらに決明子(けつめいし)を加えることで、効果がより高まると言われています。
レシピ
材料
- 菊の花:3g
- 決明子:5g
- クコの実:5g
作り方
- ハーブを鍋に入れ、300~500mlの熱湯を注ぎます。
- 蒸らして、お好みの濃さになったらできあがり。
毎日新鮮に淹れて、家族みんなで楽しみましょう。お子さん用にティーバッグを用意して、水筒に入れて学校に持たせるのもおすすめです。
効果
菊の花とクコの実:目の乾燥を和らげ、潤いを与える効果があります。
決明子:目の健康にとても良いハーブで、緑内障や白内障、乱視などの目のトラブルにも効果があるとされています。ある臨床試験では、決明子とクコの実のエキスがドライアイに対しても有効であることが示されました。
さらに、生の決明子で作ったお茶には、腸の動きを助け、脂肪を減らし、血圧を下げる効果もあるため、便秘や肥満、高血圧に悩む方には特に良いとされています。また、決明子にはフラボノイドとアントラキノンという成分が含まれており、抗酸化や抗炎症、肝臓保護、免疫の調整、脂質低下などのさまざまな健康効果が期待できます。
注意点
決明子は体を冷やす性質があるため、妊娠中の方、低血圧の方、または冷え性の方は避けたほうが良いでしょう。
クコの実にはゼアキサンチンやルテインなどの抗酸化物質が含まれており、加齢に伴う目の病気(黄斑変性、白内障、網膜色素変性症など)の予防に役立ちます。
菊の花のエキスは、光によるダメージから網膜を守り、酸化ストレスを軽減することがわかっています。
ツボマッサージで視力ケア
目の周りをマッサージすることで視力のケアができると聞いたことはありますか?ある研究では、目の周りのツボを刺激することで近視の予防に効果があることが示されています。また、耳のツボ刺激(耳介圧)を組み合わせることで、若い人の仮性近視にも良い結果が得られたそうです。さらに、別の研究では、老眼の方が特定のツボに鍼治療を7日間受けた後、近くの視力が大きく改善したという報告もあります。
以下では、視力ケアに効果があるとされる10か所のツボをご紹介します。それぞれのツボを1回3~5分間マッサージしてみましょう(図参照)。
1. 光明点I・光明点II
これらのツボは小指の指腹と第二関節にあります。マッサージすることで、目の疲れや乾燥、老眼、近視、視界のぼやけを和らげます。
2. 光明
このツボは下腿外側の外くるぶしから約5寸(約15cm)上に位置します。目の疲れ、乾燥、老眼、近視に効果があるとされています。
3. 風池(ふうち)
首の後ろ、髪の生え際付近にあるツボで、血行を良くして目の痛みを和らげる効果があります。
4. 太渓(たいけい)
このツボは足首の内側、アキレス腱の前方にあります。腎経を活性化し、視力を向上させる効果が期待できます。
5. 湧泉(ゆうせん)
足の裏の中央にあるツボで、目の乾燥や痛み、刺激感を軽減するのに役立ちます。
6. 攢竹(さんちく)、魚腰(ぎょよう)、瞳子髎(どうしりょう)、承泣(しょうきゅう)
これらは目の周りにあるツボで、マッサージすることで目の乾燥やチクチクする感じを和らげ、目の下のたるみを減らす効果があります。
目のケア体操
ここでは、簡単にできる2つの目のケア体操をご紹介します。ぜひ日々のケアに取り入れてみてください。
1. 目のリラクゼーション体操
まず、手のひらを擦り合わせて温めます。次に、指を少し内側に曲げた状態で、手のひらと指を目の上に軽く当てましょう。そのまま手を左に9回、右に9回回します。目は開けたままでも、閉じたままでも大丈夫ですし、手の動きに合わせて目を動かしてもOKです。
手には6つの経絡(けいらく)が通っており、この体操を行うことで、そのエネルギーを目に伝えることができます。結果、目がすっきりとリフレッシュします。
2. まばたき体操
スクリーンを長時間見ていると、目の乾燥や疲れ、異物感、焼けるような痛み、頭痛が起きやすくなります。そんなとき、頻繁にまばたきをすることで、ドライアイのリスクを大幅に減らすことができます。涙の分泌を促し、刺激物を洗い流し、目を清潔に保つために、定期的にまばたきすることを心がけましょう。
多くの人が目の乾燥を和らげるために人工涙液や目薬を使いますが、これらは一時的な効果しかありません。また、血管を収縮させるタイプの目薬も頻繁に使うのは控えたほうが良いです。目を守るためには、自然なまばたきが一番のケアです。
手作り温湿布で目のケア
飛蚊症の症状が気になるとき、「首を振る方法」が効果的だとされていますが、それだけでは効果がない場合もあります。そんなときには、古代中国の「消風散(しょうふうさん)」と温湿布療法を組み合わせることで、症状の改善が期待できることがあります。
レシピ
材料
- 陳皮(ちんぴ):3g
- 竜胆(りゅうたん):3g
- 防風(ぼうふう):3g
- 細辛(さいしん):3g
- 黄連(おうれん):1.5g
- 木香(もっこう):1.5g
作り方
- 鍋にハーブを入れ、300mlの熱湯を注いで蒸らします。
- ハーブをこして液をボウルに移します。
- タオルを熱いハーブ液に浸し、よく浸かったら取り出して軽く絞り、余分な水分を除きます。
タオルを広げて目の上に約10分間乗せ、ゆっくりリラックスしましょう。
効果
陳皮と木香は体内のエネルギーの流れを良くし、湿気を取り除く効果があります。
竜胆、細辛、防風は体内にたまった「風邪(ふうじゃ)」を追い出すのを助けます。
黄連は熱を鎮め、解毒する働きがあります。
注意点
温湿布を使用する際は、温度が快適であることを必ず確認してください。熱すぎず冷たすぎない温度に調整し、目を閉じた状態で行ってくださいね。
目を癒す蒸気療法
古代中国の文献『銀海精微(ぎんかいせいび)』には、「洗眼散」と呼ばれる目の蒸気療法が記載されています。この蒸気療法は目の乾燥や疲れを和らげ、目の老化を防ぐ効果があります。
レシピ
材料
- 大黄(だいおう):3g
- クチナシの実:3g
- 防風(ぼうふう):3g
- ペパーミント:3g
- 川芎(せんきゅう):3g
- 羌活(きょうかつ):3g
- 甘草(かんぞう):3g
作り方
- 鍋にハーブを入れ、300~500mlの熱湯を注ぎ、蒸らします。
- 出来上がった液をカップに注ぎ、手の甲で蒸気の温度を確認しましょう。心地よく温かく、熱すぎないことが大切です。
目をカップに近づけて、蒸気で目を優しく蒸らします。1日10分ほど続けてください。
1週間続けると、最良の効果が期待できます。
効果
大黄(だいおう)とクチナシの実は体内の余分な熱や炎を取り除き、目の乾燥を和らげます。
防風(ぼうふう)、ペパーミント、羌活(きょうかつ)は体内の「風邪(ふうじゃ)」を取り除く効果があります。
川芎(せんきゅう)は血行を良くし、甘草(かんぞう)は熱を和らげて解毒する働きがあります。
中医学では、熱や炎、風邪はすべて病気の原因となる「病邪(びょうじゃ)」とされており、これらを取り除くことで健康を保ちます。
追加情報
大黄には抗炎症、抗線維化、抗がんなどの薬効があり、2型糖尿病のリスクを減らす効果や血管拡張作用も持っています。
食事療法で目の健康をサポート
目の健康を守るためには、特定の栄養素を含む食品がとても役立ちます。ここでは、目に良い食材を使ったレシピとその効果についてご紹介します。
目に良い栄養素と食材
ほうれん草には、ルテインとゼアキサンチンが豊富に含まれています。ある研究では、これらのカロテノイドを多く摂ることで、加齢による目の病気(新生血管加齢黄斑変性)のリスクを大幅に減らすことがわかっています。
ほうれん草と豚レバーのスープ
このレシピでは、豚レバーとほうれん草、さらに目に良い4つの食材を使ったスープをご紹介します。
材料
- 豚レバー:60g
- ほうれん草:130g
- 出汁:1000ml
- 補骨脂(ほこつし)、灯心草(とうしんそう)、クコの実、川芎(せんきゅう):少々
- ごま油と塩:少々
作り方
- 豚レバーをスライスし、出汁を沸騰させます。
- ほうれん草は下茹でしてシュウ酸を減らします。
- 全ての食材とハーブを加え、5分ほど煮れば完成です。
目の健康に欠かせない4つの食材
クワの実、クコの実、かぼちゃの花、カリフラワーは目の健康に良いとされています。
クワの実、かぼちゃの花、カリフラワーを定期的に摂取することで、視力の向上が期待できます。
クコの実は、乾燥した状態で食べるのが良く、1日10粒を目安に摂取しましょう(ただし、多量摂取は下痢を引き起こすことがあるので注意)。研究によると、クコの実は目の健康をサポートし、網膜の疾患を改善する効果が期待されています。
避けたほうが良い食品
ねぎ、生姜、にんにく、唐辛子などの刺激の強い食品は、目に不快感を引き起こすことがあります。もしこれらを食べた後に目の不快感を感じた場合、濃いお茶を飲むと症状が和らぐことがあります。
ドライアイを和らげるお茶
高齢者はドライアイになりやすく、涙腺が詰まって涙がうまく出ないことで目やにが出ることもあります。ここでは、そんなドライアイの症状を和らげるお茶のレシピをご紹介します。
材料
- 黄耆(おうぎ):19g
- 当帰(とうき):11g
- 補骨脂(ほこつし):11g
- くるみ:11g
- 地黄(じおう):11g
- クコの実:11g
作り方
- 鍋にハーブを入れ、2000mlの熱湯を注ぎます。
- 数分間蒸らしてからお召し上がりください。
注意点
風邪をひいているときにはこのお茶を避けてください。
この記事で紹介しているハーブの一部は馴染みがないかもしれませんが、健康食品店やアジア系の食料品店で購入できます。
治療方法は個人によって異なることがありますので、具体的な治療計画については医療専門家に相談することをお勧めします。
この記事で述べられている意見は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの意見を反映するものではありません。エポックヘルスは、専門的な議論や友好的な討論を歓迎します。
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