2024年の実質賃金は前年比0.2%減で3年連続マイナス。物価上昇が賃上げを上回り、中小企業の厳しさが浮き彫りに(shutterstock)

実質賃金1.8%減 物価高が家計を圧迫

厚生労働省が10日発表した毎月勤労統計調査(従業員5人以上)によると、2025年1月の実質賃金が前年同月比で1.8%減少したことが明らかになった。物価上昇が賃金の伸びを上回ったことが主な原因としている。

実質賃金とは、名目賃金(現金給与総額)から物価変動の影響を除いた指標であり、労働者の購買力を示す重要な指標だ。1月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)が前年同月比3.2%上昇し、物価上昇が加速している。特に食品価格の高騰が家計に大きな負担を与えており、生鮮食品以外の食料品やエネルギー価格の上昇が顕著だった。

一方で、名目賃金の伸びは限定的であり、物価上昇に追いついていない。2024年から続く円安や輸入コストの増加が国内物価を押し上げる一因となっており、これが実質賃金の低下に拍車をかけ、消費者心理に与える影響も懸念される。

▶ 続きを読む
関連記事
東京株式市場の前場で日経平均が下げ幅を拡大し、一時800円超の下落を記録。米株高後の過熱感から利益確定売りが膨らみ、植田日銀総裁の講演を前に投資家が警戒
金価格の高騰を背景に、日本への金の密輸が3年連続で急増している。片山さつき財務大臣は28日、税関で申告のない金について没収を可能とする制度改正を明らかにした。不正薬物以外の没収対象化は初めてであり、財務当局が金密輸を従来より深刻な脅威と捉えていることがうかがえる
中国が福島処理水と高市首相の台湾発言を理由に日本産海産物の禁輸を再開したと報じられる中、米大使が「今回も日本を強力に支援する」と明確に表明。日本は米国市場へのシフトを加速
ソニーや三菱自動車など多くの日本企業が中国で事業縮小や撤退を進行中。生産拠点は東南アジアやインドへの移転が目立つ
自民党はメガソーラーの地域共生と規律強化に向け、5部会合同会議を開催。年内に政府提言をまとめる方針だ。